第1066号 2024年末、日本企業の象徴「自動車業界」で起きた激震が物語ること

第1066号 2024年末、日本企業の象徴「自動車業界」で起きた激震が物語ること

日本の企業社会をけん引してきた自動車業界で激震が走っています。ご案内のとおり、経営不振を極める日産が事実上、ホンダ傘下に収まる経営統合が行われると報じられています。販売台数が800万台を超える世界第3位の自動車グループが誕生すると伝えられています。しかし、どう考えてもそんなハッピーな話ではなく、この合併を機に両社が発展的に良くなっていくとは到底思えません。

成功していくイメージが全く描けない

かつて15行もあった大手都市銀行は、あきれるくらい統廃合を繰り返し、ついには4グループに再編されていきました。現在、それなりの存在感は保ち続けているようには感じます。しかし、これはサービス業であったから出来た訳で製造業においてこの再現は至難の業と感じられます。実際、大手家電メーカーではそうした道は取れず、いくつかの大企業は没落の憂き目をみています。

豊田章男氏が塚越寛氏の影響を強く受けていると知ったとき、片方の雄日産では外国人経営者が業績軸を前面に打ち出しすさまじいリストラを仕掛けていました。

あれは10年前。当時、「今日はトヨタのものだが、10年後はこれからどう経営の舵取りをしていくかにかかっている。日産も幸せ軸に変革できればまだ希望はある」といったことを人本経営実践講座の講義でメッセージしていたとことを今も思い出します。

しかし、業績軸を突き進んだ日産は、経営者は背任容疑で起訴され、その後、あろうことか国外へ敵前逃亡する大失態。そして、人手不足の今日日、万人近い社員をさらにリストラし路頭に迷わせた挙句、延命のためにあろうことかホンダに抱き着いたのです。日産は事実上、企業として終焉したのです。そしてホンダもこの足かせの重さは尋常でなく、とても社員の幸せ増進最優先といった発想はできないでしょうから、今後の経営は非常に不安定なものになっていくに違いありません。

これは自動車業界に限ったことではない

2024年末を迎え、いい会社はますますよくなり、ダメな会社はどんどん悪くなるという構図が、はっきりくっきり明確になった、という実感を強く持ちます。これは自動車業界に限ったことではありません。今、幸せ軸経営を本気で取り組んでいない企業はもう手遅れになっている可能性が高い。

業績軸の経営に拘泥している企業の現場では、業績不振、採用できない、離職を防げない、後継者がなく事業承継できない、という四重苦に苛まれ、刻々と寿命を短くしています。

右肩下がりの環境でも持続できる幸せ軸経営

売上、利益を第一に考え、対前年比で極力急成長をしようと試みる「業績軸経営」は、人口が増えていくという右肩上がりの環境があったがゆえに成長できた幸せな成功体験でした。一方、「幸せ軸経営」は、人口が減っていくという右肩下がりの環境であったとしても成長していける幸せな成功体験なのです。ものすごい勢いで生産年齢人口が激減し続けていく現代において極めて有効な経営手法であることは間違いありません。そのことを170社を超える人本経営指導の現場で証明してきました。

人口が減ったとしても、幸せになることを人は必ず求めるのですから、消費者や労働者から幸せ軸経営を体現している企業は選ばれ続け、採用の成功・低離職率・好業績という現代企業における持続可能性の鍵である新三種の神器を手に入れ、永続の道を快調にひた走っていくことが出来ます。

来年、団塊の世代が後期高齢者になり未曽有の大介護時代が到来します。人を大切にする職場風土がない企業では親の介護と仕事の両立支援ができずベテラン社員の離職者が急増し、ますます経営は窮地に追い込まれることが目に見えています。一刻も早い、幸せ軸経営による健全健康な職場風土づくりが急務です。もう本当に時間は残されていません。本当に、、、。

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