第1054号 実態把握調査アンケートから始める介護と仕事の両立支援
2024.9.24
社会問題となっている介護と仕事の両立支援。弊社ではクライアント先にこの情報共有と対策実践のための助言指導を積極的に行っています。
まず何と言っても、経営者、経営陣がこの問題に対して、しっかりとその重要性を認識していただくことが重要です。そして、社員に対して啓発を行っていくことが求められます。
啓発は、まずこの問題についての現状の社員の現状把握と意識調査を図るためのアンケートを行うことが有効です。その後、しかるべき社内研修を行っていきます。
今週号では、どのようなアンケートを実施していけばよいかということについて考察していきます。厚生労働省でもそのためのひな形が提示されています。有難いことなのですが、いかんせん詳細すぎて、このままでは使用しづらい感じです。そこで、これを参照にして簡易版を工夫してみたいと存じます。
アンケート票 前文
まず、何のためにこのアンケートを実施するのか、その目的を示します。なぜか厚生労働省のひな形にはこの記載がありません。会社としての意思表示をする絶好の機会ですのでぜひ記載していきましょう。
この際に重要なメッセージは「介護は定年までにほぼ全員が直面する課題である」ということを伝え、社員に向き合う姿勢になってもらうことです。そして、誰一人、介護離職者を出さない会社の方針であり、現状把握と意識調査のために行うということを明確に示すことではないかと考えます。前文案としては以下のとおりです。
——————————
2025年には団塊の世代全員が75歳以上となり、介護需要が急増する可能性が高まっています。現在でも毎年10万人もの介護離職者が増え続け、360万人もの人々が介護のために会社を辞めており社会問題となっています。親族の介護をしなければならない労働者は2030年には育児の倍以上の約318万人になると推計されています。介護は定年までほぼ全員が直面する課題です。当社ではこの問題に重大な関心を寄せており、社員の誰一人、介護で離職をさせないという方針でいます。つきましては今後、関連の啓蒙活動、体制整備、そして互助し合う風土形成に力を注いで参ります。今般、その一環として社員の皆様の現状把握および仕事と介護の両立に関する意識調査を行います。ご協力をよろしくお願い申し上げます。
——————————
調査していく項目
調査していく項目としては、以下がよいかと想定しています。
- ☐ 介護経験の有無
- ☐ 現在、介護をしているか
- ☐ 今後 5 年間のうちに、ご家族・親族を介護する可能性があるか
- ☐ 将来介護することについての不安感があるか
- ☐ 介護と仕事の両立への意思はあるか
- ☐ 現在の職場の雰囲気はどう感じているか
実態把握と意識の調査、そして、会社が介護と仕事の両立支援に関心をもっているということを知らしめていくことが目的ですから、このアンケートでは匿名で実施することが適当でしょう。
アンケートを実施し、実態が把握をすることで、一段とこの問題に対して会社としての向き合い方にも力が入ってくるはずです。
当通信の読者の皆さんにSVCで作成した「仕事と介護の両立実態把握アンケート」フォーマットをご提供いたします。
ご希望の方はsvc-post@sharedvalue.co.jpに「仕事と介護の両立実態把握アンケートフォーマット入手希望」と明示していただきご送信ください。
このコンテンツの著作権は、株式会社シェアードバリュー・コーポレーション(以下SVC)に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、SVCの許諾が必要です。SVCの許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。