第1030号 人本経営実現を阻むベテラン社員の抵抗にいかに対峙するか
2024.3.25
人本経営実現を阻むベテラン社員の抵抗にいかに対峙するか
ここのところ、繰り返し伝えていますが、本当に人本経営に対する引き合いが一段と強まってきています。
先週始めは全管理職を対象に「人本経営実践講座」を単独企業で5月から10か月間実施する案件がまとまりました。
目覚ましい成果を挙げている大阪の宮脇鋼管さん以来2社目の単独企業での実施となります。
確実に良くなっていくビジョンしか見えません。
そして、週末には東北の商工会議所から事務所に連絡があり、
7月にズバリ「人本経営」というタイトルで講演をしてほしいとオファーが舞い込みました。
また、私たちが直接かかわらなくとも、人本経営のコミュニティGCC（グッドカンパニークラブ）の参加メンバーには業績軸から幸せ軸へ、経営改革を挑んでいる事例も多くなってきています。
当通信の読者におかれても、行動されているケースは増えているのではないかと推測しています。
人本経営の実現を阻むリスク ベテラン社員の抵抗
そこで今週号では、せっかく経営者が人本経営を実践していこうとしているのに、それを阻む最大のリスクについて取り上げてみることにいたしたいと存じます。
未来工業の山田雅裕社長は、先代から経営者を委ねられたとき
「社員にとって天国、経営者にとって地獄のようなこの会社を引き継ぐことは大変だが、一歩も引かない覚悟をした」と笑いながら視察時に語られていました。
未来工業のようなスーパーホワイト企業ですら、そうなのですから、
業績軸が企業風土として染みついた組織を幸せ軸へ変換していくことは、相当にエネルギーが必要なことは間違いありません。
ここで、思わぬ障害に出会うことが往々として発生します。
その最大リスクは取り巻きのベテラン社員たちが、あろうことか「今さら幸せ軸なんて」と抵抗してくるケースです。
皆が幸せになり、この会社で働いていてよかったと充実した人生を送ってもらうことに思いを馳せたのに、厳しいカウンターです。
管理職として、それなりの権限もあり、もうあと少しで定年を迎えようとしているベテランの社員にとって、180度それまでの慣行とは違う企業風土への変更は、面倒だとか、われ関したくないなどといろいろと思うことが出てくるのでしょう。
不退転の覚悟であることを宣言し説く
ベテラン社員が抵抗勢力になっている限り、業績軸から幸せ軸への転換は思うように進められません。
ここは、経営者として本気度を示す以外にはありません。
生産年齢の人口が激減し、さらにこの後急速に減り続けること、その状況下において新規採用に成功し、離職者を生み出さず、さらにお客様に選び続けていただく魅力ある職場づくりをして会社が存続していくためには、働く社員一人ひとりの幸せづくりにかかっていることを本気で語り理解してもらうための対話をしていくしかありません。
「いい会社をつくりたいので、どうか協力してほしい」と
本気の意思表示をしても聴き入れない対応をするのであれば、残念ながら袂を分かつ覚悟も必要です。
解雇といった過激な手段でなく、人事異動を行う、あるいは組織の構成員からは外れて個人事業主になってもらう、好条件で競合他社への転職を認めるなどそれまでの功労を最大限尊重した対応をしていきましょう。
今この状況下で、変革への遅れは企業の将来に大きな影響は及ぼすことは必至です。
ぜひともベテラン社員の方には正しく人本経営を知っていただくアプローチをしていきましょう。
人本経営実践講座に送り込んでもらうのもよし、拙著「パワハラがない職場のつくり方」や「人本経営」を読んでいただくのもよし、機会をつくっていただけるなら、管理職向けの人本経営理解促進セミナーの講師として喜んで御社へ出向きます。
そうした投げかけをしても乗ってこないようであれば、多くの社員の幸せ実現のため、そして会社の存続のために、大きな決断が必要になるかもしれません。
でも案ずるよりも産むが易しのケースが多いものです。
気づき決断したなら悩んでもブレずに幸せ軸経営実現へ頑張りましょう！
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