第1024号 お客様を大切にするということの意味~お客様は神様なのか

第1024号 お客様を大切にするということの意味~お客様は神様なのか

報道機関へ告ぐ 「人を大切にする経営」を正しく理解して発信せよ

「人を大切にする経営」についての誤解、誤用が、
相も変わらず、コンサルタントやシンクタンク界隈から散見されます。
先頃も某教育研修企業のコラムで以下のような記事がサイト上でアップされていました。

お客様は神様なのか

昭和の頃、「お客様は神様である」ということが疑われることなく、
どこの会社でも程度の差はあれ、崇められるような風潮があったことを思い出します。
ご要望はもちろんのことクレームについても、とにかくお客様の言っていることが正しいのだから、
社員は問答無用で対峙させられることが常でした。
大量生産、大量消費の中でのお客様は、それこそ多種多様な方がいて、
クレーム対応の部署はそれこそ理不尽な要求にも身を粉にして仕事をしていたことでしょう。

そこへ人事異動されようものなら、
「ついてない」とか「終わった」といったイメージが付きまとっていました。

神対応している会社

高知に四国管財という会社があります。ここではクレームは天の声、ラッキーコールとして、
即時に発生現場に飛んでいき、お客様のお困りごとやご要望等に応えることをし続けています。
これにはクレームを出したお客様も「そこまでしてくれるとは」と驚き、
すっかりこの会社のことを気に入り、その後、良好な関係を築いておられます。

まさしく神対応をしている訳ですが、これが実現できるための仕掛けがあります。
同社はビルメンテナンス業ですが、新規受注に際して、他社と相見積もりを要求し
最も安い所にという引き合いがあった時には即座に「ウチは結構ですから」と撤退します。
同社が設定している適正価格で仕事をお願いしたいということでない限り
お客様になれない線引きをしているのです。

すべての人が顧客ではない

ものすごく重要な示唆があると感じられないでしょうか。
顧客満足を最大値に高めていくためには、徹底したフォローやサービスは当然必要ですが、
あらゆる人を顧客対象としていては、その実現に、疲弊するであろう社員、
膨大になる作業時間、コストなど困難なことがすぐに予見できます。

しかし、わが社にとって、
この方々なら徹底的に奉仕できるとあらかじめセグメントされたお客様の層であるならば、
社員も納得して仕事ができるというものです。

東京町田にあるでんかのヤマグチも、まさしくこれです。
1年以内に一定額の購入をしてくれ、過剰な値引きを要求されたことがない、
理不尽なクレームをしたことがないというフィルターにかかった層だけをお客様と設定しなおし、
「電球1個よろこんで」と何かあれば飛んでいく体制をとりました。
この決断は、既存の顧客が半減することを意味しましたが、
残った真の顧客との関係性は一層良質になりました。

結果として売上は下がりましたが、数多ある量販店がとても及ばない好収益体質となり、
持続可能性を高め続けています。

神様のお客様はどこにいるのか

四国管財、ヤマグチの事例は、お客様は神様なのではなく、
神様なお客様に出会う努力をしているということです。
そして、そうした顧客を創造出来たら、徹底的に差別化してリピーターに育て、
遂には「あそこいいよ」と口コミで新たな神様なお客様を連れてきてくれるファンにしています。

伊那食品工業の塚越寛さんは、ファンづくりこそ「いい会社」の生命線といわれています。
これらの先達によって、人本経営にとってお客様を大切にするとは、
ファンになっていただくことにほかならないと悟らされます。
そのためにはすべての人が顧客対象ではなく、
選ばれるために神様であるお客様を選んでいくことが肝であると学べます。

さて、いかに自社で実現していきますか?

【お知らせ】――――――――――――――――――――
おかげさまで新SVC通信は、発刊1000号を迎えることができました。

これを契機に、さらに人を大切にする人本経営について
伝道していく使命を色濃くしていきたいと考えています。

つきましては、しばらくの猶予期間を経て
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