第1002号 右肩下がりの環境下でも成長していくために
2023.8.28
右肩下がりの環境下でも成長していくために
今年も出生数が減りました。
赤ちゃんの数が遂に80万人台を割り込んだと先ころ報じられました。
総人口は減じ始めたところですが、
企業経営に大きな影響を及ぼすのは15歳から64歳の生産年齢人口です。
この層は社員として働いてくれる労働者層、
そして商品やサービスを購入してくれるお客様となる消費者層だからです。
東京都民数以上の労働者、顧客がすでに消失
記事によれば、1995年にピークの8726万人に到達した生産年齢人口は、それ以降は減少を続け、
2020年には7292万人になり、実に1434万人近い労働者と消費者が日本から消失しています。
推計によると今後、さらに2500万人以上減り、2050年にはついに5000万人割れと予測されています。
戦後、復興し高度成長を成し遂げたわが国。
もちろん国民の勤勉性もその大きな要因であることは疑いようはありませんが、
団塊の世代を中心に50年間、生産年齢人口が右肩上がりに社会に供給され続けるという環境が
下支えになったことは間違いありません。
大量生産をして効率よく安く販売していくことで企業は拡大していくことが可能でした。
そして、一億総中流意識をもてるまでに国民は豊かさを享受することができました。
そのピークだったバブル経済のころ、企業は7割が黒字経営を実現できていました。
右肩上がりの環境が不可欠だった業績軸経営
「人口が増えていく」という右肩上がりの環境があることで成長できた幸せな成功体験でした。
事業計画は、対前年比どれだけ成長していくかという目標が当然のように提示され、
社員たちもそんなものだろうと深く疑問を抱かず従い働いていきました。
これが「業績軸」経営です。
右肩上がりの環境という大前提がくずれて30年、そして今年も少子化ですから、
あと20年は少なくとも生産年齢人口は減り続けます。
このため現在、6割を超える企業が赤字へ転落しています。
この期に及んで業績軸で対前年比を意識して拡大再生産をしようとすると、
企業体はきしみ、どこかに無理がかかることになります。
過重労働に耐えかねた社員の大量離職、
そして人手不足となっても十分な補充ができずさらに現場にシワ寄せがいく、
そうした中で無理に数値をつくろうと強権を発動し
不正行動を蔓延させ失墜したのがビッグモーターです。
評論家は氷山の一角であると指摘しています。
右肩下がりの環境での十分条件
時代は、企業に「人口が減っていく」という右肩下がりの環境にあっても
成長していくことを求めています。そのための必要条件を考えてみましょう。
1.人手不足に陥らないこと
2.収益を確保していくこと
この2点に尽きるかと帰結します。
1.の命題に答えるためには
〇社員が辞めない職場にする(賃金水準や労働環境に不平不満のない状態をつくり幸福度を高める)
〇一定の新規採用ができる(魅力的な組織風土を醸し出す)
〇65歳以上のシニア層や子育てがひと段落した女性の活用をはかる
〇外国人労働者の雇用を検討する
〇兼業を受け入れる
2.の命題にこたえるためには
〇適正価格での取引(値決めができる経営)
〇現状維持でなく新商品開発や新たな付加価値創造により減少する消費者から選択される商品づくり
といった経営課題を克服していくことが解決策となり得るでしょう。
右肩下がりの環境で不可欠となる幸せ軸経営
困難な課題でしょうか?当通信はそうは思えません。
未だ少数派ですが、人を大切にする人本経営を実現手している企業は、
これらの命題に明確に答えを出し前進し続けているということを目の当たりにしているからです。
「人口が減っていく」という右肩下がりの環境にあっても
成長していく幸せな成功体験を叶えているし、いけるのです。それが幸せ軸経営です。
業績軸から幸せ軸へ、腹をくくった経営者が世の中を変えていきます。
この確信は年々、深まっています。
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これを契機に、さらに人を大切にする人本経営について
伝道していく使命を色濃くしていきたいと考えています。
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