第997号 伊那食品工業視察記2023~悠久の時を刻み続けるいい会社

第997号 伊那食品工業視察記2023~悠久の時を刻み続けるいい会社

伊那食品工業視察記2023~悠久の時を刻み続けるいい会社

12回目となった伊那食品工業の視察。
今回は小口智彦常務取締役にご講話いただきました。

断固、年功序列

給与、賞与は毎年必ず上げ年収が加齢と共に増え続くことを継続し続けています。
いつもの視察時よりも、より年功序列で行くことが
幸せ実現の目的に叶うということをお伝えされようとしているのではないかと
感じられました。

ジョブ型雇用という短期視点重視のマネジメントが横行し始めている昨今です。
当社は断固として年功序列で生涯現役を貫く経営のあり方を踏襲していくと
鮮明に感じられました。

本当に多くの経営者は、政治家やコンサルタントの言質などではなく、
事実、雇用を生み出し続け、報酬を上げ続け、社員を増やし続け、人々の幸せを増進し続け、
永続の道をぶれることなく歩み続ける伊那食品工業に
今こそ真摯に学ぶべきであるとつくづく思わされました。

性善説に基づくマネジメント

性善説をベースに経営をしているので、
評価や規則といったことが同社では前面に出てくることはありません。

管理職に昇進していくのも評価ではなく
適齢を迎えたらなんとなくそうなっていくし、
昇格したら降格人事絶対にしないと断言されていました。

この発言に心底人を大切にする経営を実現しているのだなと
改めて心にくるものがありました。

また就業規則もあるにはあるが、
それはあくまで目安に過ぎないという感覚だそうです。

規則を遵守することでコンプライアンスを実現していくのではなく、
社員一人ひとりの良心を信じていくことで
お互いが快適な職場が形成されていき当然に法に触れるようなことは起きないし、
質の良い組織風土、企業文化が醸成されていくのだと
改めてよく理解できました。

性善説をベースにしていると誰かが提案した「それ、いいね」というアイデアを
恥ずかしがらずにやり始める傾向が職場全体に広がっていくようです。
駐車場に一列に停めることもこうして同社の名物になっていったのです。

ファンづくりの要諦

伊那食品工業がこれこそが企業価値であると疑わないファンづくり。
これには何より気配りが大事だといわれていました。

ところが気づくことはなかなかできるものではありません。
そこで同社はスポットライトの数を増やすことを意識しているとのことです。
つまりは多面的に物事をみていこうことです。

ではどうやってそうしていくかというと、
なんでも経験していこうというのが合言葉になっているのです。

大切にしている「みんなでやる」ということも、
この経験値を上げていく意味合いがあるという訳です。

30年後寒天を売っていないかもしれない

遠くをはかるということが大事だとは
塚越寛さんが常々口にしてきた言葉です。

社員の皆さんは、対話の中で、5年後どうなっているかという意識をもって
考えるようにしているのではないかということでした。

そして、常務は「30年後は寒天を売っていないかもしれない」とも発言。
新商品開発や新市場の創造をし続けている同社ですが、
まさか寒天を売っていない将来もイメージしているとは驚きでした。

強みを意識してヨコへヨコへ広げていくことで
新商品や新しいマーケットが見つかる鍵だとご指摘されていました。

新商品開発に10年くらいかかることもあり、
研究開発に1割の社員と利益を注ぎ込んでいるのは、
遠くをはかることを日々実践していくために
会社としての意志をはっきりさせているのだと
解説しておられました。

いい会社をつくりましょうは現在進行形

今回の視察で改めて気づけたことは、
「いい会社」づくりに全く力んでいないということでした。
まさしく自然体で徐々に年輪を刻んでいるのです。

視察後に想起した言葉は
「伊那食品工業は悠久の時をつくり続けているのだ」ということでした。

辞書によれば悠久とは、
「遠い過去から遠い未来まで果てしなく続くこと。また、そのさま。」
と解説されています。

この意味から、社是が「いい会社をつくりましょう」と現在進行形となっていることが絶妙です。
終わりなく、「いい会社」づくりをこれからも同社はし続けていくに違いありません。

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