第971号 この1~2年が重要な転機になってきている
2023.1.10
この1~2年が重要な転機になってきている
明けましておめでとうございます。
今年もぶれず人本経営の伝道を推し進めて参りますので
よろしくお願いいたします。
その原動力として書き認めてきた当通信も
本年後半には千号を数えることになります。
千号刊行記念として催し物を企画して参りたいと存じます。
ご期待ください。
人的資本経営に「取り組んでいる」企業は7割超に達しているという調査結果が出ていました。
7割の企業で人的資本経営に取り組んでいるという数値は
いささか眉唾な感じはしますし、
実際に取り組んでいる内容はどうなのか判然としませんが、
もはや「人的資本経営」というワードは
多くの企業で認知されていることは確かなようです。
従来との経営の違いは、四半期といった短期ではなく、
長期視点で経営をとらえることにあるのがその特徴です。
本通信でたびたび指摘した通り、人的資本経営は依然「業績軸」の経営ですが、
遠くをはかる経営ですので
「人本経営」で重視する経営のあり方に近づいてきています。
長期に経営を考える企業が増えてくることはのぞましいことです。
そして、その先の「幸せ軸」の経営の重要性に気づき、
人的資本経営から人本経営へ経営の舵を
抜本的に切れる企業がどれだけ生まれてくるか、
この1,2年はまさにこれが問われる端境期になるという気がしてなりません。
大転換期を迎えている
大転換期といっても差し支えないかもしれません。
「業績軸」から、そこで働く社員や取引先社員の幸福度を高めた結果うまれる質のよい仕事を通じて
社会に提供される商品やサービスに触れるお客様をファンにし続けて、
結果としての好業績がもたらし続ける
「幸せ軸」経営へ転換を成功できる企業へ発展していくのか、
見てくれだけで本質的に変われないで終わるのか、
大きく分かれてくると読んでいます。
人本経営を世に広めていく支援をするため立ち上げた
人本社労士の会の活動も活性化してきています。
会員の人本社労士のメンバーからは、
「幸せ軸」の重要性に気がつき
変わり始めようとしているクライアントが増えているという報告がある一方、
現実には本腰になれない経営者も少なくないという意見も絶えません。
そして、ビジネスチャンスととらえた多くのシンクタンクやコンサルタントから提案される
人本経営とは似て非なる経営手法に惑わされて、
「いい会社」もどきづくりに埋没してしまっているのではないか
という事案も増えてきていると共通認識を深めています。
企業で働く男女200人へアンケートという興味深い調査も報告されていました。
このレポートによると
「過去に戻れるとしたらもう一度今の会社に入社を希望する人」は28%にとどまり、
7割以上は他社への入社を希望しているのです。
もう一度今の会社への入社を希望すると回答した方の理由を分析すると、
「人間関係が良好」「仕事があっている(やりがいを感じている)」が双璧の理由で、
「給料がいい」「福利厚生が充実」という意見の実に3倍となっていることがわかります。
前者は幸福度の指標であり、後者は満足度の指標といえます。
一方、もう一度今の会社を希望するかの問いに「いいえ」と回答した理由を分析すると
「人間関係が悪い」、「給料が安い」が最も多く、
「残業が多い」といった現状の労働環境の問題よりも3倍以上となっています。
この結果からうかがえることは、
やはり給料そのものが低いと感じてしまえば
その会社への帰属意識が薄まることは当然として、
給料を高くすれば愛社精神が高まる訳でないことや
働き方改革などで残業を適正にすることが
それほど社員のモチベーションに好影響が及ばないということがみて取れます。
世間相場よりもよいと感じられる給料水準にしているということは最低基準の目標として、
それが実現できていると感じられたら、
労働条件よりも社風をよくして働く社員同士、とくに上司との人間関係の質の向上が
その企業の生命線であるということが改めて確認できます。
この調査では、学生時代に会社選びで重視していた項目のうち
「会社の雰囲気・人間関係」は最下位の12.5%でしたが、
実際に働いてみて重要だと思うことという問いに対して、
この項目がダントツの46%まで跳ね上がっています。
そこに尽きるのです。
人を大切にする人本経営は、
この社風や人間関係を良好にすることを得意とする経営です。
永続には、やはりこの人本経営の実践しかないと
新年に改めて心に記し期すのです。
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