第968号 支援型リーダーの役割は、「メンバーの生活に気を配ること」

第968号 支援型リーダーの役割は、「メンバーの生活に気を配ること」

支援型リーダーの役割は、「メンバーの生活に気を配ること」

管理職の役割は「メンバーの生活に気を配ることである」
伊那食品工業の塚越英弘社長のこの言葉が深く印象に残っています。

人本経営においては、一人ひとりが主人公となるように、
リーダーはメンバーのやりがい、働きがいを高めるように、
動機づけの支援をすることがミッションになり、
これを「支援型リーダー」と呼び、
その育成の重要性を説いてきました。

その支援型リーダーには以下の10の大切な行動規範が求められます。

支援型リーダーに求められる10の基本行動

① 対話する
② 傾聴する
③ 気に留める
④ 顧みる
⑤ 考える
⑥ 合意形成をはかる
⑦ 信頼する
⑧ 任せる
⑨ 承認する
⑩ 感謝する

メンバーの生活に気を配るという役割が与えられたなら、
この10の行動が必ず必要になってくるということが確認できます。

まず、普段から対話をして傾聴していないと、
今、組織の構成メンバーである彼や彼女の身に
どのようなことが起きているのかがわかりません。
特に家庭環境での変化に気に留めて、
顧みて考えた対応をしていくことが求められます。

親が高齢となり、健康状況に問題が生じているといった情報を共有できれば、
当然にそちらに気を取られることになりますから、
介護の手当をしっかりと施すことができるよう
有給休暇を取ってはどうかとかといった
慮った行動をしていくことが支援型リーダーとして
ふさわしい行動ということになるでしょう。

そして、休暇を使い、適切な介護施設をみつけて、
親が安心して介護ケアを受けられる状態になった段階で復職してくれば、
心置きなく再び仕事に集中していくことができます。

また、子供も大学を卒業し、
家庭での養育が一段落を迎えているようなメンバーに対しては、
ここで一段と仕事で成長できるように、
それまでよりもチャレンジングな仕事を就いてもらうような働きかけをしてみることも
一考となるでしょう。

その際もまた対話を重ね傾聴しつつ、
相手が自立自発的にその仕事に調整してみたいと
合意形成を図っていくことが大切です。

そして、新たな仕事にチャレンジする本人が意思決定したなら、
信頼して任せていくのです。

支援型リーダーは、ここで「待つ」という姿勢になります。
それは我慢することではなく、人を育てるということです。

苦労しながらも、信頼に応えようと
メンバーが努力をして試行錯誤している状況を見守るのです。

任せていると、必ず変化が出てきます。
それは小さな一歩かもしれませんが、
前進に変わりはありません。

そして、変化が見て取れたとき、
「ほめる」という承認行動が相手に勇気を与えていきます。

それまでできなかったてことができるようになったことで、
過去よりも人の役に立つことができるようになったということを本人に悟らさせ、
働く喜びを共有していきます。

人の究極の4つの幸せ
「人に愛されること、人に必要とされること、
人の役に立つこと、人にほめられること」を実感していくことが
幸福感を増進させる充実した人生を実らせていくのです。

そうして確かな成長をメンバーが遂げてくれたら、
感謝の念が沸くでしょう。
そのことにより支援型リーダーの人間力もまた一段と磨かれていくのですから。

さあ、メンバーの生活に気を配って、今日もいい仕事をしていきましょう。

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