第960号 私案「人間力」の評価基準

第960号 私案「人間力」の評価基準

私案「人間力」の評価基準

・トヨタ自動車が近年、人事評価制度を刷新したことは大きなニュースとなった。
従来の職能ごとの一律的な昇給をなくし、
評価に基づく賃金項目、つまりより個人に焦点を当てる職能給に一本化した。

・その個人の職能評価の基準に「人間力」が加えられた

・具体的には、“誰かのために”といった「貢献意識」と
相手の意見を丁寧に聞いて「謙虚に学ぶ姿勢」を指す。

・相手を思いやり、自分はできていないことを理解し、
学び成長しようとする努力などが求められる。

・もちろん業務の実行力は別途、評価基準にあるが、
マインドが重要になるこの評価基準は、新しいものといえる。

・人間力を評価基準に入れた理由について
トヨタ自動車に尋ねたところ、
「自動車業界を取り巻く100年に一度の大変革期を乗り越えるため、
自分たちが経験したことがない分野においても、
周囲から謙虚に学び、仲間づくりをして、
乗り越えていかなくてはならないため、
その基礎力としての人間力を評価に導入しました」と回答。

・また導入後、何らかの効果が起きているかと尋ねたところ、
「周囲から頼られ信頼される人物になるための意識向上や努力促進が、
組織内に顕在化するとともに、職場活性化につながっています」
とのことだった。

・トヨタを皮切りに、日本の他企業でも今後、
人間力の評価は取り入れられていくと考えられる。

~以上、引用

日立などの大企業がジョブ型雇用にシフトし
成果主義の色を濃くしているのに対し、
トヨタは人を大切にする評価軸として
「人間力」を重視すると構想し実現させました。

真反対に進む両者のコントラストが鮮やかです。
この先どうなっていくのか、もう答えは出ている気がいたしますが、
見守ることにいたしましょう。

人間力を重視した、いわば人本主義の人事評価制度は、
経験値を重視した年功主義の日本的経営の進化形であると
当通信では捉えています。

人本経営の実践が進み、
クレドといった日々、人を大切にする経営理念を実現していくために
欠くことのできない行動規範が示されていれば、
それを「人間力」の評価軸として用いて
多面評価で情意考課として構成することを
以前のレポートでは推奨しました。

行動規範が用意されていない場合、
どのような事項を「人間力」の評価軸にすればよいでしょうか。

以下は、ある会社で導入した「人間力」の評価表です。
支援型リーダーシップが発揮されているか、
素直さ、思いやりのある場づくり、
利他の精神の発揮、理念浸透への行動で構成しています。

こうした事項を職場の同僚、先輩、後輩、
上司らにより多面評価した平均値が高いと
「人間力」に優っていると考えていく訳です。

確実によい組織風土が醸成されていくはずです。

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