第953号 有効需要でなく有効供給が重要
2022.8.22
有効需要でなく有効供給が重要
生産年齢人口の漸減が50年以上続くわが国において、
いかにして企業が持続可能性を高めていくか、これが問われています。
そのために、これからの時代にニーズとなることを見つけていくことが鍵になります。
うまく鉱脈となるニーズを発掘したとして、その際のスタンスの取り方によって、
永続していくのか、線香花火的に一瞬の煌めきで終わってしまうのか、が決まります。
例えば携帯電話市場。最初に登場したときは、縦型の受話器スタイルでした。
そして、二つに折れるスタイルの電話が主流になっていきました。
この時、バネをつくっているメーカーにニーズが生じます。
携帯電話を滑らかに折りたたむには、当社のバネは最適ですとプレゼンすることで
たくさんの受注を得ることができました。
しかし、やがてスマホという革命的商品が登場し、
二つ折りの携帯はガラパゴス化していきました。
あれだけの発注は瞬時にして消し飛んでいきました。
バネ業界の市場規模は約3500億円です。
そのうちの85%を自動車、家電、弱電、情報通信の4業界が占めます。
組立型企業の典型的な下請産業で、
業界3000社の多くは、これらの産業の量産物の受注生産をする中小企業となっています。
大量生産が主流のバネ業界で、
平均製造ロット5個の多品種微量オーダーメイドに特化している
東海バネという会社が大阪にあります。
主流ではないエネルギー分野、社会インフラ分野などに特化しています。
彼らはここを「競争しない領域」と呼んでいます。
依頼の大半は「こういうものが欲しいが・・・」と言ったイメージ絵程度であり、
図面などはありません。ほとんど全てが設計開発からスタートしています。
同社がこれまで手掛けた代表的商品は
「スカイツリーの耐震用バネ」「人工衛星の姿勢制御のバネ」「明石海峡大橋の免震用バネ」等
日本を代表する建造物の一部となり、
この会社がなくてはそれらのものは世に登場することが出来ていないのです。
結果、価格は同社の言い値で取引が成立し、長年、黒字経営を実現し続けています。
有効需要と有効供給
同じバネの会社でもスタンスが明らかに違うことに気づかされます。
前者は「有効需要」に応え、そして東海バネは「有効供給」を実現しているということです。
ニーズという需要を探すのではなく、
ニーズを自ら創り出す供給をしていくというスタンスで経営をしていくことが、
これからの時代にあっても持続可能性を高めてくれることは間違いありません。
これを実現するために、伊那食品工業の塚越寛さんは、
「人材と利益の10%を研究開発に充てること」の重要性を説いています。
有効供給を生み出すのは、ヒトたる社員以外ありません。
そこに投資せずして、将来展望は望めません。
人的資本経営が、昨今叫ばれ始めたのは、正にこの理由に他なりません。
人本経営を実践し結果が伴っている企業では、
求められているそれぞれの人的資本の情報について、
確実に世間の目を見張る開示が出来ます。
人本経営実践企業は、人的資本の情報開示により、
圧倒的な経営の質の差を示すことが出来るようになってきたのです。
人本社労士としての有効供給
人的資本の国際開示基準として示された
ISO30414の規格認証プロフェッショナルのライセンスに
SVCの代表小林秀司は、合格(2022.6.20付)しました。
人本経営を実践している会社の人的資本情報を
ISOの基準にのっとり認証をするサポートする仕事が
新たな事業サービスとしてできるようになりました。
人本経営を実践している企業の付加価値を多大にしていくことに貢献していきたいと考えています。
サポート方針は明確です。
3年以上人本経営を実践してきた企業、
もしくは弊社社員意識調査の幸福度指数が60%以上の企業に対して、
認証手続きをサポートしていきます。
そして、人を大切にする経営とは、
このような人的資本の構成になると社会に範を示していきます。
結果、人本経営実践企業が主役の時代として明確に認知されるように行動をしていきます。
これが、当方の新たな有効供給であるとの認識をしています。
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