第951号 一将功成りて万骨枯る
2022.8.1
一将功成りて万骨枯る
正直、絶句しました。
「休むなどもってのほか」衝撃メールにア然…日本電産・永守会長の「復活」で社内は大混乱
幹部は呆れ、社員は逃げ出し…日本電産 「永守帝国」の崩壊がついに始まった
という記事が飛び込んできたからです。
以下、記事抜粋です。
-最近の永守氏は、以前にも増して社内でぶち切れることが増えたという。
いつも怒号が鳴り響き、周囲はみな萎縮している。
その影響もあって
「昨年末には秘書室長が退社し、さらに後任者を永守氏が気に入らず、
着任から1年も経たない今年6月末で更迭してしまった。
そのため、秘書室長をやれるめぼしい人材がいなくなり、
仕方なく広報宣伝部長が兼任することになった」(関係者)という。
「日曜日も働け」と永守氏が再び言い出し、
モーレツ経営の再来を嫌気してか、現場の退職者も激増している。
「とある事業所で、一気に100人以上が辞表を提出したこともあった」(同前)。
日本電産の永守氏、コロナ禍に突入した直後の2年半前の2020年4月、
こう発言していました。
「50年、自分の手法がすべて正しいと思って経営してきた。
だが今回、それは間違っていた。テレワークも信用してなかった。
収益が一時的に落ちても、社員が幸せを感じる働きやすい会社にする。
そのために50くらい変えるべき項目を考えた。
反省する時間をもらっていると思い、日本の経営者も自身の手法を考えてほしい」
当時、業績軸経営の代名詞であった日本電産の永守氏が、
明確に幸せ軸へ経営の舵取りを変える宣言をしたと受け止め、
本当に世の中は変わり始めると感じましたし、
そのことを賞賛するメッセージをいたしました。
しかし、それは、幻影だったようで、露と消えてしまったようです。
舌の根も乾かぬうちに(泣)
情けなく、哀しさがこみ上げてきます。
同時に、こんな経営者のもとで働く社員に同情の念を禁じ得ません。
見抜いていた傑人がいた
永守氏が変わったということで
メディアにも取り上げられることが多くなった2020年当時、
一人だけ懐疑の念をむけていた御仁がいました。
曰く、「このNなる人物を私は全く信用していません。
本来、我々が先人より受け継いでいる、天に恥じない所作が、
経営という名の元に、恥も外聞もなくひたすら利益を求める
アメリカナイズされた経営に堕落した昨今です。
殊更、このNなる人物は貪欲な欲望の爪牙を上手く包み隠した猿芝居の演者で、
偶々、良好なるマスコミ受けの数字を残した下衆の極みと断じています。
一切の言葉が届きません。すみません。
そもそも、世に名だたる【名経営者】と言われる人物達の、その成功事例を信じません。
一人だけ目立つ輩に、一将功成りて万骨枯るという格言を熨斗付きで贈ります」
当時は、さすがに厳しすぎるのではと感じていましたが、
今、まさしくお言葉がずっしりと響きます。
この発言主は、誰であろう、伊那食品工業の井上修会長です。
永守氏の言動について褒めたある方のFacebookでの投稿に対してされていたコメントです。
こういうことを卓越性というのでしょう。
そして、心底、人を大切にする経営を実践してきたからこそ、見えていたのでしょう。
あっぱれと脱帽します。
それにしても永守氏は晩節を汚したものだと思います。
まさしく老害以外の何物でもないでしょう。
そして、けっして、ぶれてはいけないことを、他山の石として
今、人本経営を実践している経営者は肝に銘じておくことです。
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