第932号 日本が貧困化している理由と経営者ができる解決策
2022.3.14
日本が貧困化している理由と経営者ができる解決策
人を生かす経営が問う覚悟 選び、選ばれる関係築けるかと題された日経の記事が目にとまりました。
この春の産業界の労使交渉で、
「人への投資」がキーワードになっているということですが、
ISO30414で示されている開示情報を調査すると、
社外に公表している企業は15%にとどまり、
25%の企業は測定すらしていないと報告されています。
「人的資本経営」に対して、日本企業は欧米に比べ遅れが目立つと煽っていますが、
降って湧いたようにこのワードが出てきたわけで、
実態がそうであることを嘆く必要性を全く感じません。
むしろ、目的をしっかり定めないまま、
やれ経営戦略だ、人事戦略だと流行りのように「人的資本経営」に向き合っていくのは、
いかがなものかと感じます。
記事では「「人を生かす経営」を推し進めれば、会社と社員の関係も見直しを迫られる。
個人が能力を最大限に発揮するには、同じ会社に勤め続けることが最善とは限らない。」
と書かれていますが、何を言っているのかと疑問をもたざるを得ません。
以前に検証しましたが、年功序列、終身雇用が悪なのでは、決してありません。
なぜなら、伊那食品工業、未来工業など日本を代表する人を大切にする経営実現企業では、
現在も年功序列、終身雇用が実現されているからです。
職業で熟練していき、出来る仕事が深みを増していくとともに、収入も末広がりで増加していき、
安定した家庭生活が実現できれば、多くの人は幸せでしょうし、それを望むことでしょう。
かつて1億総中流と言われた社会は、それを近い形で実現できていたわけです。
バブル経済がはじけ30年が経ちました。
中流意識もはじけ飛び、老後の生活への不安感が増しています。
なぜ、こんな状態になってしまったのでしょう。
その理由は、下図をみれば一目瞭然です。
社会の規範になるべき大企業が、まったく給与や未来投資である設備に成果配分をしていないのです。
儲かった利益をせっせと株主を喜ばすことだけに使っています。
これでは社会がジリ貧になるのも頷けます。
「人的資本経営」の機運を契機に、
真に業績軸から幸せ軸へ企業経営のあり方を変えていこうではありませんか。
それが、わが国を復活させる唯一の選択肢だと信じて疑いをもちません。
伊那食品工業という見事な教科書がこの国にはあるのです。
徹底的にベンチマークをして近づく努力をすること、
これ以外に経営者のミッションはないはずです。
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