第922号 人間力とは何か 人本主義の人事考課制度構築論2

第922号 人間力とは何か 人本主義の人事考課制度構築論2

人間力とは何か 人本主義の人事考課制度構築論2

人を大切にする人本経営を実践しようとしている多くの企業現場を訪れてきました。
そこでは、この人間力という概念を意識して、
より「いい会社」をつくるための経営に役立てようとしているケースが
ほとんどすべてといって過言ではありません。

直接、人間力という言葉を用いていなくても、
人柄、徳、利他、人に優しく、感謝、恩、縁など
突き詰めれば人間力に司られた事柄を大切にしていて
その結果として幸せを実感する職場になっていると気づかされるのです。

人間力と区別して、技術力、仕事力を掲げ
この3つの能力を高めていくことが、自社の人材育成の方針と明示している会社もありました。
高い人間力のうえに技術力、仕事力を磨いていくとスタンスは明確です。
有り体に言えば、いかに腕がよくても、頭がよくても
挨拶もろくにできない人間は自社の社員ではないというわけです。

内閣府で定義された「人間力」
人間力について、内閣府でも研究会を立ち上げていて
知的能力的要素、社会・対人関係力的要素、自己制御的要素などを構成要素として
これらを総合的にバランス良く高めることが
人間力を高めることといえると説明しています。

つまり、学び続け、人と社会に優しくできて
健全、健康な習慣を身につけていると人間力が高いということでしょうか。

学術的にはそれでいいのかもしれませんが
企業経営において人間力ある人材育成をするとした場合に
どういう社員像を目指したらいいかピンとこないので
SVCでは以下のとおり、人間力を定義します。

人間力の定義
1.世のため人のために自らの命を生かそうと行動する能力
2.あるべき姿に近づくために課題形成する能力
3.課題解決のために、自発的に学び、考え、行動し、よりよく問題を解決する能力
4.豊かな人間性を発揮できる能力
5.心身の健康を維持する習慣を実践できる意思能力

人間力がもたらすもの
ところで、力とついています。
物理学において力とは、「状態を変化させる原因となる作用」と説明されています。

では人間力は、何をどう変化させる、どのような作用なのでしょうか。
人を大切にする人本経営では
その目的はあらゆるステークホルダーとの関係の質を良好にさせていくことを目指していきます。
その実現に大きな影響を与えていくのが、社員一人ひとりの人間力です。

ということは、人間力とは、自分を取り巻く周辺の人との関係の質の状態を変化させる作用
と説明することができます。

自己中心的、ひがみっぽい、すぐに声を荒げるといった人間力が低い人が行う行動は、
周りの人たちとの関係性は、推して知るべしで、けっして良好にはなっていないでしょう。

いっぽう、思いやりがある、聴く耳をもっている、笑顔で接しているといった
高い人間力のある人の行動は
時に相手を勇気づけ、前向きにさせることでしょう。

人間力を高めていくことで結果(業績)の質も高まる
人間力を高めていくと、関係の質をより上質にさせていく作用がある
という重要な結論が結びついてきます。
関係の質は、思考、行動の質に影響を与え、結果の質そのものに直接影響を与えていきます。
ここに人間力を重視した人事マネジメントの大いなる意義が見いだせるのです。(つづく)

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