第908号 必読 STOP!その投資話にのってはいけない
2021.9.13
必読 STOP!その投資話にのってはいけない
前号で警鐘を鳴らしました。
時代の変わり目に気づいた抜け目ないコンサルによる
やたら幸せ軸もどき経営を訴える広告を目にするようになったということを。
その会社は今月から、人を大切にする経営を学ぶためのスクールを開講すると大々的にPRをしています。
広告には、これまで人本経営の伝道で、たびたびお世話になった複数の方々が、
ゲスト講師として登壇されると顔写真付きで紹介されています。
むろん、この方々はホンモノです。
主催者の企画に応え、人を大切にする経営を世に広められるならばと
無心で依頼を引き受けられたことと存じます。
しかし、この会社の主催者は、利益を追求する経営を否定しながら、
「この経営を実践すれば、利益は必ずついてきます」
「この経営を素直に実行してくれたクライアントは、軒並み業績が上がりました」
と業績軸です。幸せもどき経営だと前号で断罪しました。
馬脚を現したまやかし指導者
先週、この会社から広告メールがまた届きました。開封して愕然としました。
なんと、そこには、投資ビジネスを勧誘するLP(ランディングページ)へ
誘導させる内容が書かれていたからです。
少し調べてみましたが、詐欺まではいかないものの評判がよくありません。
もしかすると、本命は投資ビジネスの勧誘が目的で、
人を大切にする経営を学ぶとして開講するスクールは、
そのための見込み客の集客手段として行われたのではないかという危惧を少ながらず覚えました。
もう時代は、いかに儲けるか、よりも、いかに幸せになるか、
というほうが人々の関心を集めやすいですし、
マーケッターであるこの会社の代表者は、そのへんは先刻承知のことでしょう。
その投資ビジネスにのると必ず破綻する
ここから原則論を展開いたします。
提案の投資ビジネスが違法でないとしても、人を大切にする経営を提唱して、
同時に額に汗をかかない浮利を求める投資話を進めるのは、
人を大切にする経営を推奨指導する立場の者としては、
断じてあってはならない愚挙だと言わざるをえません。
とても、まともではなく、不自然で正しくありません。
経営者にこの話を相談されたら、
私なら絶対にのってはいけないと、諭す行動を必ずいたします。
あのバブル期に一切の投資をせず、社員とその家族の幸せ実現をいちばんに考え、
ひたむきに人本経営を貫き、今では、盤石な会社になった
レジェンド企業の昭和測器の鵜飼俊吾会長がおっしゃっていました。
「投機ではなく投資だったら正常ではないか?なぜ国債を買ってはいけないのか?
本業で一生懸命やって、その合間にしか時間は使わないのだから、
汗しない利益だってやってもいいではないか。両方で儲かったら会社は早く立ち上がる」
そうした考え方に対して、明確に鵜飼会長は真っ向から反駁されています。
「楽をして利益を求めるという気持ちが、どれだけ経営の心を鈍らせて、腐らせていくか。
この気持ちで経営をしていては、どちらに転んでも駄目だ。
バーンと赤字になったら本業は傾くに決まっている。
バーンと儲かったら自分がやろうとしている本当の覚悟なり経営が必ず疎かになります」
バッサリ結論を出しておられます。どう考えても、その通りだと冷静に考えれば納得です。
さすが、ホンモノの人本経営者です。
もしも、あなたが社員で、社長が人を大切にする経営を行うぞと言っている端から、
投資話にうつつを抜かしているとしたら、どう感じますか?
何考えているんだと見識を疑われるに決まっています。
仮に投資話で儲かり、会社にお金を入れたとしても、
そんなことで社員たちが幸福になっていくでしょうか?
社員たちは、そこでなくて、もっと自分の仕事をみてほしいと白けていくのではないでしょうか。
人を大切にする経営は、本当に関わる全ての人に幸せをもたらす素晴らしい経営です。
いちばん幸福感を感じるのは経営者だと思います。
しかし、その成就は、とことんぶれずに人を大切にする
「あり方」を追求する経営者の本気の姿勢なくしてありえないのです。
派手な宣伝広告に目を奪われないでください。
人本経営の「あり方」とは決定的に反する目先の利益を優先していては、
永続的な幸せは永遠に手に入れることはできないのです。
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