第907号 増殖しつつある「幸せ軸もどき経営」では永続は難しい

第907号 増殖しつつある「幸せ軸もどき経営」では永続は難しい

増殖しつつある「幸せ軸もどき経営」では永続は難しい

数年前まで、マーケティングの専門家と称していて、
どうやって稼ぐかというノウハウを売りにしていたコンサルタントが、
そのことが全くなかったかのように自身のプロフィールも変え、
利益を第一に考える経営を否定して幸せ軸の経営を目指せと喧伝しています。

時代の変わり目に気づいた抜け目ないコンサルが、
やたら幸せ軸もどき経営を訴える広告を目にするようになりました。
この類の流れが本当によく見られるようになってきたと感じています。
そういう時代になってきたということなのでしょう。

ただよく見ていくと、利益を追求する経営を否定しながら、
「この経営を実践すれば、利益は必ずついてきます」
「この経営を素直に実行してくれたクライアントは、軒並み業績が上がりました」と言っています。
なんだ、目的は業績ではないか、とがっかりします。
これでは、まやかしそのもので幸せもどき経営といえます。

四国でいちばん、および日本でいちばん大切にしたい会社大賞に輝いた
高知県のファースト・コラボレーションの武樋泰臣社長は、
人を大切にする経営をして本当に業績が出るのだろうかと迷ったり、疑念を持ったりしているようでは、
その経営者は、まだ業績軸にいると明言されておられました。

人は経営資源の一部ではない

人を大切にする人本経営は、明確に業績軸とは一線を画した幸せ軸のなかに位置があります。
ですから、人を資源と考えません。
業績がよくなるから人(社員)を大切にしなさいというスタンスはありえません。
人を幸せに導くこと、これこそが経営の目的であり、
とことん人を大切にすれば、健全健康な体から便が自然に排出されるように、
利益は結果として自然に出てきます。

人を大切にするのですから、リストラはありえませんし、
年功序列で幸せな状態を持続させていくことを目指します。

ところが、幸せもどき経営は、居場所のない人間が職場を去ってもらうのもあり得るし、
年功序列は修正されるべきといっています。
難しいところはあるかもしれませんが、このあたりを明確に意識していい会社づくりを志しているからこそ、
人本経営を実践している企業が、
混とんとした今この時代に燦然と輝きを増してきているのだということがはっきりわかります。

ポストコロナ社会では、業績軸から幸せ軸に生きることの重要性が明確に認識されてくるでしょうし、
それをやり切っている会社とそうでない会社の二極化が誰の目にも一目瞭然となってくると確信しています。

しかし、このときに幸せもどき経営でとどまるならば、肝心の持続可能性は高まりません。
トンネルを抜ける出口の明かりが日に日に強く大きく近づいてきている今、
人を大切にする会社づくりを正しく自然に人本経営で永続的に実践していく行動をしてほしいと
経営者の皆様に心からお伝えしたいと今強く念じております。

経営者の皆さん、次の5つの問いにYESと答えられますか。
答えられるのなら、幸せ軸にいます。
YESと言い切れなければ、それを改革していくことが、今すべき行動ということです。

・幸せを追求する経営理念が定められているか
・そのために社員第一主義でいくことを宣言しているか
・仕事の都合より家庭の事情を優先していい企業風土が醸成されているか
・社員、取引先、仕入先と会社は上下の関係でなく仲間、パートナーという同志の関係となっているか
・定時で事業を回していき、毎年成長という年輪を刻んでいくことが実現できているか

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