第867号 米国大統領選に思う

第867号 米国大統領選に思う

米国大統領選に思う


対立、分断の極致といって過言でない米国大統領選挙。8日の時点で、バイデン候補に当確ランプが点じられたと報道されています。

就任当初から物議を醸し出し続けたトランプ政権は1期で幕が下ろされそうな状況です。もっともトランプ陣営では、コロナ禍で導入された郵便による投票で不正が相次いでいると主張し、今後、最高裁を巻き込んだ政治闘争になっていく気配です。

[指摘1]対話がない外交では諸外国との関係は悪化していく一方になる

メキシコとの国境沿いに壁をつくるという強硬策をとったときにもメキシコ大統領との対話を拒絶していることをふまえ、こんなことでは諸外国との関係はもたないと指摘しました。日本とは安倍前首相の巧みなリーダーシップが発揮され、この4年間の日米関係は良好でしたが、中国との関係の質の悪化は顕著になりました。EUや国連とも距離感が置かれ、世界の不安定さは増しているように感じます。

[指摘2]周りが敵だらけになっては長続きしない

敵をつくらない配慮をするからこそ、調和がとれ持続可能性が高まるのが人本の原理原則です。側近を切りまくり、暴露本の出版も相次いでいます。フェイクニュースという言葉はメジャー化しましたが、そのためほとんどのメディアに叩かれ、ツイッターなどのSNSですら、発言に懐疑印が連発される事態になっています。たしかにメディア側も真実を曲げて報道するような茶番も多く、問題は感じますが、やはり正常でないと感じます。結局、側近ではペンスしか残らず、家族たちしか信用できない状況になっています。

[指摘3]トランプの政策は破たんへの道をひたすら辿り、原理原則からかけ離れているため、これから何らかの失策が起きた時に、トランプの政治は一気に行き詰っていくような気がしてならない

これは的中してしまったようです。今回、選挙に負ければ、その敗因はコロナ対策の失政にあることは明らかでしょう。あまりに無謀に対応していたせいで、世界で最も多くの感染者、死者数を出してしまうミステークを犯しました。コロナ禍がなければ、問題をはらみつつもトランプが再選していた可能性は決して低くなかったのではないかと感じられます。見た目の無謀さとは裏腹に、国連で北朝鮮の拉致問題に言及するスピーチを披露したり、金正恩との電撃会談や中東和平の前進を実現したりしています。一説によれば、新しい戦争を始めなかった唯一の大統領という評価もあります。しかし、いかんせんコロナ対策は失敗で、それを理由とした多くの国民がバイデン票に流れていってしまったことは確実でしょう。

[指摘4]世界最大の権力者が、その持てるパワーをさらに利己的に発揮して世界が大混乱にならないことを祈りたい

今ココ、という感じです。仮に大統領選に敗北したとして、まだ任期中です。あの性格からして、最後に何らかの大仕事をしないとも限りません。それが引き金になって、世界が混乱していくような事態になっていくかもしれないというシナリオは捨てきれません。

100年前の1918年にスペイン風邪のパンデミックが発生、世界中に大流行し、世界恐慌、ブロック経済化、そして第二次世界大戦という悪夢のシナリオをかつて我々人類は体験しています。

よもや、歴史は繰り返してはなりません。それを実現するのは、現代を生きる我々一人ひとりの良心と意思しかありません。我利ではなく利他、今こそ、その大切さが問われていると強く気づかされます。

幸いにも企業社会では、そのことが本流になりつつあります。問題は政治の世界です。日本でも、相手の足を引っ張り悪口雑言が繰り返される国会審議の場面が絶えません。為政者は、今こそ、世のため人のために心ある行動に努めてもらいたいと切に願います。

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