第863号 「SDGsとは何か」を正しく理解する
2020.10.12
「SDGsとは何か」を正しく理解する
SDGs…突然この言葉が生まれたわけではありません。人類が引き起こしてきた様々な問題に対して、課題解決を数多の成功と失敗を重ねてきた国連がたどり着いたイニシアチブとして世に誕生してきたのです。
国連難民高等弁務官を務められた緒方貞子さんを補佐し、国連の広報活動に従事し、SDGsの成立プロセスを現場で見続けてきた田瀬和夫氏の近著『SDGs思考』(インプレス)を拝読させていただくとその経緯がよく理解できます。
田瀬氏は、平和・開発・人権と地球環境をつなげたのがSDGsであると解説されています。SDGsというと17の目標と169のターゲットが、あのカラフルなアイコンと共に強調されていますが、個々の項目を意識する以前に、国連がSDGsを生み出した、人類のこれまでの歴史から学び次の世代へ伝えようとしているメッセージと、将来の子どもたちへ引き渡したい世界観を理解し、腹堕ちさせておくことが何より肝要だと指摘されています。そして、その理解なしにSDGsの目標に断片的に取り組んでも有益なものは生まれないと警鐘を鳴らされています。
■SDGsの世界観
それはSDGsの前文や宣言にちりばめられているとされています。根本概念は「より大きな自由(In Larger Freedom)」にあるとし、SDGsの世界観を次の通りと示しています。
世代を超えて
すべての人が
自分らしく
よく生きられる
田瀬氏が著書で強調されているのが、「つなぐ・つなげる」ということです。これが世界観では「世代を超えて」ということの意味です。自らのみならず次の世代の幸福を願い、世のため人のためになすという普遍的価値をつなげていくという体系がSDGsであるということです。あらゆる社会課題はすべてつながっているのです。
「すべての人が」については、SDGsの代名詞といっていい「誰ひとり取り残さない」という決意です。これには二つの意味があると田瀬氏は指摘します。一つは成長志向の果てに発生した格差のない世界の実現、二つ目は障がい者やマイノリティが社会に参画できる世界を目指すことだといいます。
「自分らしく」については興味深い指摘がされています。自由ということについて、SDGsでは拘束されない自由を意味するリバティではなく、人生における選択が多いことを意味するフリーダムを用いていて、開発目標達成と掲げた2030には、自分の意思で未来を自由に選択できる世界の実現を目指すという決意が表明されているとしています。
「よく生きる」は、最近よく使われるようになったwell-beingのことです。たんに病気ではないということではなく、身体的、精神的、社会的にウェルビーイングが満たされている状態とされています。
本通信の読者であれば、その状態が人を大切にする人本経営が実現された組織で一人ひとりが幸福感を増大させて生き生きと輝いている企業で完全にイメージできるのではないかと存じます。
人本経営の世界観は、「一人一人が主人公として存在承認され幸福感を高めていくことで、結果としての収益がもたらされ永続する企業体を目指す」といえるでしょう。
SDGsと人本経営、親和しないはずがないのです。このことを意識して行動していくことで、さらなる勇気と活力が沸き、自社が、社員が、地域が、そして日本、世界が輝きだします。
100年に一度のコロナ禍の現状打破、突破、そしてよりよい変化を、人本経営をベースにしてSDGsを実践していくことで実現していきましょう。
*未来を考え行動に変える一日 11月12日、田瀬さんを迎え「人本経営ベース SDGs実践セミナー」を開催します。
【配信のお申し込み】――――――――――――――――――
SVCでは、「人を大切にする会社」に関するトータル情報誌として、毎週「新SVC通信」を発信しています。
無料配信のお申し込みはこちら
【SVCからのお知らせ】――――――――――――――――――
★2020年11月12日開催 人本経営ベース「SDGs実践セミナー」好評受付中!
人を大切にする経営=「人本経営」とSDGsをテーマに、人本経営ベース『SDGs実践セミナー』を開催します。“SDGsについて日本でいちばん知っている”専門家、SDGパートナーズCEOの田瀬和夫氏にご登壇いただきます。オンラインでの受講もOK!ぜひご参加ください。
このコンテンツの著作権は、株式会社シェアードバリュー・コーポレーション(以下SVC)に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、SVCの許諾が必要です。SVCの許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。