第843号 アフターコロナの世界
2020.5.18
アフターコロナの世界
ようやくコロナ災禍の終わりが見えてきました。自粛生活も今月で終焉し、6月からは2020下期へ向けて社会経済活動は反転の動きとなる模様です。
■アフターコロナはどんな世界になるか
WHOではコロナは消滅しないという見通しを警告しています。誰の記憶にも残るであろう2020コロナ騒動が収まったとしても、相手がウイルスでは根絶することができず、いとも簡単に人工的にこしらえた国境を越えて、また再び猛威を振るうリスクが高いと気づきます。テクノロジーと医学の進歩で疫病の恐怖を人類はすっかり忘れていましたが、改めて、これからもずっとこのリスクはつきまとうと悟らされました。
そして、あまりに生活苦を強いられたため、もう二度とこんな災厄は御免被りたいと、世界の国々が一つになる可能性が極めて高いと考えられます。
自分さえ、自分の国さえよければいいという自己中心的な考え方の先に本質的な解決策がないことは、子どもでも(いや、この場合は「大人でも」というべきか)わかることです。文字通り、すべての人類にとってウイルスの脅威から解放される幸福な状態をつくり続けていくためには、個々が連携して利他的な協力をしていく行動なくしては実現不可能だという現実が突き付けられます。
■SDGsが本格的に世界の中心軸となる
そうした利他的行動を牽引していくのに、これ以上ない理念を幸いにも人類は生み出していました。そう、「だれ一人取り残さない」持続可能な社会をつくるための世界共通の開発目標、SDGsです。コロナ発生以前にはこの4文字をメディアで見ない日がなかったくらいフィーチャーされていましたが、ここのところすっかり影を潜めています。コロナは今ここにある緊急問題で、SDGsは緊急性のあるものではありませんから、ある意味その現象は当然といえるでしょう。
しかし、アフターコロナでは、200%SDGsは主役になります。
トヨタの豊田章男社長は2020年3月期決算発表会にて「トヨタは日本で生まれ、世界で育ったグローバルなモノづくり企業です。私たちの使命は、世界中の人たちが幸せになる物やサービスを提供すること、「幸せを量産」することだと思っております。そのために必要なことは、世界中で自分以外の誰かの幸せを願い、行動することができるトヨタパーソンを育てること=(略)=「アフターコロナ」の時代に向けて私自身が全身全霊をかけて取り組むことだと思っております。そしてこれは誰一人取り残さないという姿勢で国際社会が目指しているSDGs-持続可能な開発目標に本気で取り組むことでもあると考えております。」と締めくくりに宣言していました。豊田社長に関しては当通信で報じてきたように「?」なところも気になり、ぶれてはいますが、今後の方向については、やはりSDGs中心と今回発言したことで、まだ人本の道を外れてはいなさそうだと安心しました。
■人本経営実践企業、成功企業が世の中を明るくしていく
繰り返しますが、自分さえ、自国だけよければ、を排除していくSDGsの要諦は利他です。ジャック・アタリも著書『2030』で利他主義の重要性を繰り返していましたが、もう間違いなく、企業社会では、経済成長至上主義は終焉し、調和善循環しながら持続していく道に進みます。そのメルクマールとなるのがSDGsです。
人本経営を形にしている企業では、今さら言われなくても、とっくにSDGsが目指している目標をいくつも達成できているケースを数多く認識しています。それもそのはずで、利他を最大化できるのが、人を大切にする「人本経営」に他ならないからです。ですから、あらゆる分野で人本経営を実現している企業群が、自身の事業を通じて暗い世の中に灯りを燈し、来るべき持続可能社会の実現に向け、復活再生の中心的役割を担う資格と実力を備えているといえるでしょう。
SDGsがゴールと掲げた2030に向け、人本経営を志している企業や組織が中心となって光り輝く時代が始まったのです。
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