第842号 復興を期待するのではなく、自助努力で再生していく
2020.5.11
復興を期待するのではなく、自助努力で再生していく
「50年、自分の手法がすべて正しいと思って経営してきた。だが今回、それは間違っていた。テレワークも信用してなかった。収益が一時的に落ちても、社員が幸せを感じる働きやすい会社にする。そのために50くらい変えるべき項目を考えた。反省する時間をもらっていると思い、日本の経営者も自身の手法を考えてほしい」
『日本電産・永守氏、新型コロナ「利益至上」見直す契機』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58252910Q0A420C2SHA000/
冒頭に紹介したのは、4月20日の日経新聞で紹介されていた日本電産永守重信会長の言葉です。企業経営においては、実績、名声ともに抜群の方が健全に自己反省をして、この先、持続していくためには変わらなければならないと自戒をされておられます。
■経済低迷の長期化を織り込む
過去のパンデミック災禍をひもとくと世界経済はひどく落ち込むものの、必ず回復しています。ただし、長期化することが特長です。
3.11の東日本大震災のとき、被災地以外では、今時分つまりGW明けには自粛ムードから反転し、社会全体は「復興」を合言葉に蘇っていきました。リーマンショックのときも半年から1年くらいで復興を遂げてきました。
しかし、今回はダラダラと停滞が続き、経済的な回復を成し遂げていくまでには相当に時間がかかることを覚悟しなければなりません。100年前のスペイン風邪では、1年間かけて経済は落ち込み、そこから1年かけて回復していくというプロセスを辿りました。今回のコロナ災禍はそれ以上になるとみておくことが正解です。つまり2年以上は、現在の環境の下で企業経営を考えていかなければならないということです。
■3年は売上なくても安泰という人本経営レジェンド企業
伊那食品工業や昭和測器のような人本経営に大成功しているレジェンド企業は、売上がなくても3年は経営を持続できると公言しています。そして、こういう危機が訪れたときのために、平素、しっかりと事業を営み、毎年内部留保を蓄える年輪経営をしてきていると全く揺らいでいません。その様を見るにつけ、うならされますし、人本経営の確かさを改めて感じているところです。
幸い弊社のクライアント先では、ほとんどの会社で経営者は人本経営に舵を切り、めざせ伊那食品工業とばかりに前進をしてきているので、経営者はいたずらに悲嘆することなく、皆さん雇用を守り、この時を何とかしのぐという意欲旺盛でいてくれています。このことは、まだ人本経営の伝道の端緒についたばかりであったリーマンショックのときには感じられなかった出来事で、ここまで人本経営のすすめを指導実践してきた成果だと感じています。もちろん、レジェンド企業のように潤沢な内部留保が出来ていた企業ばかりではありませんから、相当にご苦労を重ねているとは思いますが、必ず、この難局を乗り切っていかれると信じています。
■それでも、なお業績軸でいきますか
急成長を指向してきた業績軸の会社は正念場です。その経営で2年間持続していくことが出来るでしょうか?とても持ちそうもないと感じるのでしたら、永守会長ではないですが、反省して変わるべき時といえるのではないでしょうか。そして、その変化は生き残るためでなく、生まれ変わるためにしていくことが必要です。
この2年間で、世の中は様変わりします。もう元には戻りません。経済が復活しても、そこでの主役も様変わりしているはずだからです。新しい世の中で、役に立つことを自社の商品やサービスで実現して、社会から必要とされる会社が主役になります。
そのことを実現しているのは誰でしょうか。社長ひとりでは出来ないことは確かです。社員一人ひとりが力を結集させて、この難局を乗り越えていくということ以外に正解はないのです。
では、どうすれば、社員が力を合わせてくれるのか、その答えを出して行動していく、その結果が2年後のわが社の姿といえるのです。
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