第802号 マザーリングマネジメントで支援型リーダーシップを実現する

第802号 マザーリングマネジメントで支援型リーダーシップを実現する

マザーリングマネジメントで支援型リーダーシップを実現する

ご自身が経営者として実践してきたことをベースにしたお話は、これ以上ない説得力があり、参加者は深く腹落ちをする時間になったことでしょう。

ホテルの2店舗目を出店し規模を拡大したことで人心が掌握できず、社員の離職が相次ぎ、「自分自身が変わらないと状況は変わらない」と気づいて経営改革を実行されていきました。

社員が自主的に、自分で考え自分で判断して行動するようにサポートしていくのがマザーリングマネジメントです。ボスマネジメントのような支配的な管理をしている限り、社員の自発性が最大化していくことは望めません。その真逆で、マザーリングマネジメントは部下と闘うことではなく、スタッフの行動が次へ繋がるように環境を整えること。結果として、経営者とスタッフの間に強い信頼感を生むことだと指摘されています。その手法は、まさしく「支援型リーダーシップ」そのものといえるのです。

社員たちが自発性を発揮するためには「信頼されている」「受け入れられている」「関心をもたれている」という3つの状態をつくることが必須で、それを社員が感じて、自発性のスイッチを本人たちが入れるようになる、と金子さんは指摘します。

■支援型リーダーシップを実践するための3つの行動

ここで重要なことは、その3つの状態は、トップやリーダーがそうしているといっても無意味で、相手、つまり社員の側がそう感じているかどうかということです。そう社員が感じてくれる状態をつくるために、以下の行動をしていきます。

「見守る」ということは、観察をしていくことです。我慢ではないと強調されていました。相手を信頼して任せていくと、相手はいろいろと行動していきます。そのプロセスで、こちら側の主観で否定やジャッジをしてしまうと、そこで相手の主体性・自律性が損なわれるので、間合いが大切になります。

その行動が「傾聴」ということです。傾聴の重要性は言われつくしてきた感がありますが、やはり支援をしていくときに欠かすことはできません。

金子さんは、「人の話を聞いていて何を言おうか考えている人が多い」と言われていましたが、なるほどそのとおりだと感じました。ですから、自分の意見を言おうというスタンスではなく、相手が今、何を考えているか、悩んでいるのか、どういう状態であるかを「どこまでいっても、慮っていくこと」と断言されていました。

相手を理解することこそ、傾聴の目的です。このことを改めて肝に銘じて、対話の質を高めていきたいものです。

そして「ストローク」ですが、これは存在を認める働きかけのことです。自分が感じたこと、気持ちを相手の目を見て伝えていきます。その際、出来ていることに目を向けず、出来ていないことばかり指摘しては、それまでの「見守る」「傾聴」の行動が水泡に帰してしまいます。

言わなくてもやっていることは必ずあるはずなので、それをストロークしていくことで「関心をもたれている」という感覚を相手が抱くようになるのです。言ってもやらないという視点で相手を見ないことが大事だと金子さんは強調されていました。

社員が自主的に考え行動しているときに、様々な問題が発生してくることは必然ですが、この時に支援型リーダーとしてのスタンスとして、今回明確にしていただいたのは、「教えてあげるのではなく問いを投げてあげる。上司が解決しようとしない。」ということです。

「スタッフは上司、経営者のことをよく見ている。逆は案外見ていない。下は全部お見通し。今、部下がしていることは、これまでの自分の判断、行動の結果である。」、つまりは、上司も環境の一部なのだという深く考えさせられる指摘でした。

本当に学びのある時間でした。感謝いたします。

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