第790号 7割の赤字企業の反対の経営を志せ

第790号 7割の赤字企業の反対の経営を志せ

7割の赤字企業の反対の経営を志せ

事業者数(会社と個人事業者の数)は1986年の535万者から2016年の359万者へと減少の一途をたどっています(176万者減)。バブル期に赤字企業は3割といわれていましたが、今や7割となり、事業継続が困難になった企業が社会からの退出を余儀なくなされています。

パチンコ産業は、かつて30兆円市場であったのが、ついに20兆円を割り込み、旅館業では、その数が最盛期の55%に減少するなど、今、多くの業界で斜陽化が進んでいます。

このような状況下にあって、今後、いかにしていけば企業は存続し得るのでしょうか。

大切なことは「視点」ではないかと改めて感じるのです。廃れていく会社をみて悲観しても、何の回答も得ることはできないのです。

■達観 未来工業創業者 故山田昭男氏の名言

「わが国の高額所得法人は3%しかなく、97%の企業は4000万円の経常利益も出していないことになる。こんなバカなことはない。儲からない97%の会社の反対の経営をやる。」と報連相禁止、人事管理なし、短時間所定労働時間、残業禁止、ノルマ禁止、70歳定年、3年の育児休業など、一般の企業経営における常識ではあまり採用されない経営施策を次々に実践していった未来工業。

「どの会社でもやっていることは本当に意味があるのか、きちんと物事の本質を見ていかなければならない」という思想が貫かれているからこそ、未来工業の経営が成り立っているのです。

未来工業の様々な取り組みは、すべて社員の不満を解消するとともに、社員を感動させるためにやっていることばかりだと指摘されていました。「感動は人を喜ばせる。喜んだ社員は一生懸命に働いてくれる。会社のためにやってやろうという気持ちになる。そうして頑張った結果が、お客様を感動させ、事業を発展させることにつながるのだ。」と自社の取り組みについて山田さんは語られていました。

その結果、消滅していく中小企業を尻目に、未来工業は見事に輝きを増し続けています。

■伊那食品工業もしかり

伊那食品工業の塚越寛さんは、年功序列を排除する世の中にあって、このようないい制度をどうしてやめてしまうのかと主張されています。生活が安定し、みんな安心して勤められるから年功序列はいい制度だというのです。

これからの時代、生き残りということが強調され、また、いろいろな経営マネジメントに関する考え方や手法が取りざたされてくることでしょう。現在、すでに7割の企業が赤字にあえでいます。それらの企業が延命するための経営マネジメントに気を取られるのか、未来工業や伊那食品工業の事実をしっかりと踏まえて経営の軸を据えていくのか、これが決定的に企業の存亡を分けるといって差し支えのない段階になってきたといえるでしょう。2010年から人本経営の指導をしてきたおよそ10年の経験でいえることは、本気で人本経営を実践してきた会社は確実によくなっていて、持続可能性を高めているという事例ばかりであるということです。経営者の皆さん、今こそ真価が問われるときです。

会社、職場の企業風土・文化を幸福度増大を最優先に変革していきたい皆様に必ずお役に立つ内容です。
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