第779号 令和時代、人本経営が企業存続のための教科書となる

第779号 令和時代、人本経営が企業存続のための教科書となる

令和時代、人本経営が企業存続のための教科書となる

東京商工リサーチの報告によると、2018年度の「人手不足」関連倒産が過去最多の400件、「求人難」型が2.6倍に急増したと報じられました。

自分の住居や勤務先周辺の飲食店で、繁盛していた店が人員不足を理由に突然閉店するという経験がこの1年でも相次いでいるので、このニュースには実感と寸分違わぬ感触をもっています。

そして、この傾向は、これから先もずっと続くことを覚悟しておかなければなりません。

わが国の生産年齢人口(労働者層15~64歳)が深刻に減少していくからです。この層は労働者であり、主要な消費者でもある人口層ですが、2000年以降、1000万人も減っているのです。これだけでぞっとしますが、予測ではこの傾向はずっと続き、2050年までにはさらに2600万人が減ると推計されています。

現在、社会的な人手不足の影響が出始めていますが、山で例えるならば、今は8合目から7合目の間に下山して見えてきた風景が目の前に現れている、ということに他ならないのです。

これからまだ山を下り続けなければなりません。単純に考えて現状の6割の労働力・消費力しか社会から供給されなくなるという、右肩下がりの時代環境の中で歴史を重ねていくのが令和時代に課せられた宿命ということになるのです。

このことが何を意味しているのかはもうお解りでしょう。令和時代には、令和時代にあった生き方をしていかなければならないということです。

もはや右肩上がりが大前提だった昭和時代の常識や感覚で経営をしていては手遅れになります。本当にそんなことをしていたら寿命を縮めるだけです。「失われた10年」と言われて始まった平成が、取り戻すことなく幕を閉じようとしています。「失われた20年」まではそう形容している、したり顔の評論家がいましたが、さすがに「失われた30年」という不見識なアナリストはいなくなりました。右肩上がりの環境はもう戻ってこないのです。

これからどうなっていくか、予測してみましょう。

平成30年6月28日に総務省と経済産業省が公表した「平成28年経済センサス-活動調査」によれば、2016年6月現在、企業数は360万事業者となりました。わずか2年で20万事業者も消失したというのは衝撃的です。わが国にもっとも会社が多かった時代は1986年で、なんと535万事業者も存在していました。この年、六本木にアークヒルズが建ち、流行語大賞は「究極」となっています。まさしく「ジャパン・アズ・ナンバーワン」に酔いしれ、間もなくバブル経済の絶頂期を迎えるという時代です。物質的な豊かさを極めた時代といって差し支えないでしょう。そこから一気に駆け下ってきた訳ですが、平成の世は、熱狂が徐々に冷め、「それがすべてではない」と悟る時代だったと考えることもできます。

今後の右肩下がりの生産年齢人口を踏まえると、現状の企業数でも需給のバランスが伴っていないと言わざるを得ず、今後も減少の一途を辿ると考えられます。さすがに現状の6割に減じるというのは単純すぎますが、企業とともに人生を考えるという価値観とは違う考え方や感性をもつ若者が増えてきていることも拍車をかけて、令和時代が終わる頃には300万事業者は確実に割れていることでしょう。かつてまことしやかに言われていた「6割経済」の社会が現出してくるのです。今後は、AIなど一部の超先端的企業や、日常生活に欠かすことのできない絶対的商品を持っている企業を除いて、存立が危ぶまれてくるでしょう。

しかし、動じる必要はないと、人本経営を学び、研究・研鑽してきた立場としては、声を大にして言うことができます。何故ならば、伊那食品工業を筆頭に、その他大勢の人本経営成功企業は、100年先にも健在しているだろうということに確信がもてるからです。

令和時代に企業経営を存続させていくための教科書は「人本経営」です。そして、この学びを本気で実践していくことが強く求められてくると感じています。商品に際立った特色もなく、頑なに業績軸の昭和的な会社づくりをしている企業は社会から一掃される時代――それが令和時代となるに違いありません。

◎東京講座・・・2019年4月24日(水)開講
◎大阪講座・・・2019年4月27日(土)開講
これまで東京・大阪・四国・島根で開催し、参加企業は延べ96社、参加者は140名となりました。講座は10か月の長丁場ですが、昨年度の受講生も期の中盤からみるみる良い状態になっていくのがわかりました。
人本経営を極めて「いい会社」をつくりたい――その願い、想いは必ず叶えられます。
これまでの揺るぎない実績をもとに、自信をもって2019年度生(東京6期/大阪5期)をお迎えいたします。

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