第774号 相次ぐ人手不足倒産、高まる人本経営の重要性

第774号 相次ぐ人手不足倒産、高まる人本経営の重要性

相次ぐ人手不足倒産、高まる人本経営の重要性

勤務先、そして住居周辺で、最近、飲食店の閉店が相次いでいます。

美味しくないとか、接客態度が悪く、あの店ならまあそうだろうなというのが、これまでに閉店する店に多かったパターンですが、最近のケースはそれとはまったく様相を異にしています。

たとえば、焼き鳥店。豊富でユニークなメニューを用意して、費用もリーズナブルなため、リピーター客が多く、20時台まではほぼ満室の状態が続いていました。

しかし、先日店に行くと閉店の貼り紙がされていました。えっ、ここも閉店になってしまうのかとショックを禁じえませんでした。

まさしくサドンデスといった感じで、店が消えてしまったのです。

■客に去られるより社員に去られる方がリスク高い時代

なぜ経営を続けることができなくなったのか。

思い当たる節があります。数カ月前のことでした。たくさんの来客に対して、いつも見事な客裁きをしていた馴染みの女性店員さんから「私、この店を辞めることになりました。これまでありがとうございました。」と会計間際に告げられたのです。理由を聞くと、仲間が始める他の店の立ち上げに協力することになったということでした。その日も変わらず明るく仕事をしていたので、閉店したその店を嫌で辞めるという感じではありませんでした。あの接客レベルならば、いわゆる「引き抜き」をされることは大いにありえることだなと思うと同時に、この店はこれから大変だなと心配になりました。

店にはもう一人給仕の仕事をしているスタッフがいましたが、この客数ならば、3人いてちょうどいいだろうと感じていたからです。募集をかけても応募がないのかどうかまではわかりませんでしたが、一人で二人分の仕事をこなす彼女の力量に頼っているのはありありでした。

次にその店に行ったときには、外国人が採用されていました。当然ながら、あきらかに接客力は落ちていました。それでも、外国人の割にはよくやっていて、店も必死で教え込む努力をしているんだなと応援したくなりました。その次に行ったときには、外国人スタッフがまた一人増えていました。これもまた努力の甲斐があって店に順応してきていると感じました。しかし、客数が以前に比べて減っているなということも気がかりでした。最近になって、隣に宣伝力が強烈なやきとんの店が進出してきていて、そのあおりかと感じました。しかし、いったんは客を取られても常連はまたこの店に戻ってくるだろうと高をくくっていました。

そして、先日店に行ってみると、すでに看板は外され、明かりのない店の入り口に迎えられたのです。腕利きだった女性店員が去ってから、数カ月後の出来事でした。

■繁盛しているからといって経営は永続するのではない

昨年暮れには、近くの老舗洋食レストランが30数年続いた歴史に幕を閉じていました。その店の入り口には、店主から閉店を知らせる貼り紙が貼られていました。

そこには、「人員不足」により閉店すると書かれていたのです。あえてそのことを閉店の知らせに書いた店主の気持ちを思うと、本当にやるせなかったのだろうということが偲ばれました。

とんでもない時代になってきたと感じざるを得ません。営業努力をして顧客満足を高めていけば、店は繁盛し隆盛していくという方程式が崩れ去ってしまったのです。それ以前に、社員、店員がやりがい、働きがいを感じて、ずっと長くここで働きたいと思ってもらうことがとてつもなく重要な時代になってきたのです。ブラック企業のことを言っているのではないです。今や、普通の状態、もしくはそれ以上の会社や店に迫りくる課題となっているのです。

いち早く、人を大切にする人本経営を断行し成功することで、働く社員の幸福度を高めて、離職率の低い組織を実現していくことができないと、同様の事例がこれから頻発していくことになる可能性が高まっています。これは、尋常でない勢いで労働者が減少する現代にはすでに起こった未来といえるのです。

いいと思うことを早くやるスピードが生命線となってきています。

 ◎東京講座・・・2019年4月24日(水)開講
 ◎大阪講座・・・2019年4月27日(土)開講

昨年は島根県でも人本経営実践講座が開講。これまで東京・大阪・四国・島根で合計12期の開催実績があります。参加企業は延べ96社、参加者は140名となりました。講座は10か月の長丁場ですが、2018年度生も期の中盤からみるみる良い状態になってきているのがわかりました。
人本経営を極めて「いい会社」をつくりたい――その願い、想いは必ず叶えられます。
これまでの揺るぎない実績をもとに、自信をもって2019年度生(東京6期/大阪5期)をお迎えいたします。

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