第748号 支援型リーダーになるために
2018.8.27
支援型リーダーになるために
人本経営ではリーダーシップのあり方は支配的ではなく、支援的に実践していくことが求められます。かつて経験したことがない勢いで消費者と労働者が激減していく時代を迎えている日本では、高度成長時代に多くの企業で行われていた大量生産による薄利多売モデルは、ごく一部の事業領域を除き成立しなくなることは明白です。
■高くても買うという状態
「いいものを安く売る」のではなく、「他より高くても買ってくれる」努力をしていく必要があるのです。高くても買うという顧客は、どういう状態であれば生まれてくるのでしょうか。
◎品質が明らかにいい
◎対応など仕事にスピード感がある
◎個別対応をしてくれる
◎ブランド力がある
◎他に乗り換えるのが億劫
◎縁を感じている
◎飽きない
◎気分がいい
◎安心感がある
こんなところでしょうか。要は、満足しているからに他ならないということでしょう。
その顧客の満足度を高めているのは誰か、といえば社員一人ひとりしかありえません。差別化という付加価値は、現場の社員の行動によって生まれてくるのです。
大量生産を目標にするなら、効率性がキーファクターになりますが、付加価値を高めるためには、効率よりもひと手間、ふた手間といった手間暇かけることがキーファクターになってきます。
■支配型マネジメントの先に顧客はいない
さらには臨機応変さも欠かせないでしょう。細かくいちいち管理していては、画一的なサービスや商品しか生み出せません。顧客の期待を超えることで感動が生まれ、この会社は違うとファンになり、高くても買い続けてくれる常連性のあるカスタマーになっていきます。
日々、クライアントと接している現場の社員の感性を磨いていくことが、今後、リーダーの役割となるのです。「俺についてこい」という支配的な態度の先にはこれからの顧客は存在していないことに、今、上司の立場にいるすべてのビジネスマンは気づくべきです。そうしたボスマネでは、顧客以前に大切な社員の定着が危うくなっていきます。有効求人倍率は2倍に近づこうとしています。人として尊重されず不快な思いを感じている社員の次の職場はいくらでもあるのです。
社員を失うことは、イコール顧客を失うことに直結していくのが現代なのです。現場の社員が、顧客を喜ばすことに働きがいを感じて、心のある仕事をし続けていけるように徹底的にサポートしていくことがこれからのリーダーの使命となるのです。
■支援型リーダーシップの心得
効果的な支援を実現していくためには、対話が欠かせません。対話の質と量がリーダーの優秀性を決定づけていきます。質は、メンバーの自発性、主体性が発揮されているかで判断ができます。量は、継続していくことです。例えば、朝礼など毎日の対話の場面で、承認や感謝、思いの共有をくりかえしていくことです。それが安心感という風土になっていきます。
顧客満足を高めるために仕事上の権限を与え、チャレンジした結果、失敗したとしても、それを受け入れる度量をもつことが支援型リーダーに求められてくるでしょう。山本五十六の「男の修行」は、まさしく支援型リーダーが心に刻むべき含蓄のある言葉だと時を超えて迫るものがあります。
「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」
「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」
「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」
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