第744号 島根ツアー2018での学び2 島根電工編
2018.7.23
島根ツアー2018での学び2 島根電工編
前号に引き続き、今月ベンチマークに行った島根のいい会社からの学びをレポートいたします。
ツアー2日目は、島根電工さんとさんびるさんという“島根最強コンビ”の視察となりました。何度もお伺いしていますが、何度訪ねてもさらに深く学べて気づけることが沢山あります。
まずは島根電工さん。荒木恭司社長によるご講話が濃厚でした。
■腐った肉を食べていないか
メーカーや取引先を大切にしないことや、利益があるかないかわからない仕事を受けることは、腐った肉を食べることと同じであると喝破されておられました。そういう仕事の進め方をしていては、一日くらいはもつかもしれないが、健康状態は長く続かずやがて倒れることになるというのです。
誠に言い得て妙な表現だと感じました。発注しているほうが偉いとぞんざいな態度をとって仕入先に無理をかけるようなビジネスをしていると、関係の質が悪化していくことは確実で、下手をすると味方よりも敵になってしまうかもしれません。考えればすぐにわかることですが、改めて感謝することの大切さを気づかせていただきました。下請けという言葉はもう禁句にしたいものです。
また、薄利多売の経営スタイルも、激減する生産年齢人口の条件化ではもう成立しないビジネスモデルなのだと認識していきたいものです。その価格でも買いたくなるような付加価値を、いかに普段の仕事で生み出すことができるか、ここが大きな成功の鍵となっています。
■お客様でさえ気づかないサービスを発見する
その鍵を握っているのは社員以外になく、だからこそ社員が一番重要なステークホルダーだと荒木社長は語ります。同社では「おたすけ隊」という家庭の電気まわりでの小口工事を行う事業に進出していて、今、この事業が大きく会社の利益に貢献しています。
自分たちの仕事は、電気工事ではなく快適な空間を提供していくサービス業だと位置づけ、お客様と接する現場で決定的瞬間をつくる社員が、期待を超える感動を生み出すようにと人間力向上をベースにした人材教育に余念がありません。
クロストークに参加してくれた社員の発言がまた圧巻でした。実際に現場でどのような思いで仕事をしているかという質問に対して、このような回答がありました。
「お客様が何に困っているのかを考えるようにしている」というのです。仕事としては、電気コンセントを増設するという内容で家庭へ工事に出かけていきますが、その際、なんのために増設しようとしているのか考えるそうです。すると、そこに新しく電子レンジを設置したいという答えが返ってきました。そこでその社員は、そのご家庭での電気配線状況を確認し、そのまま増設すると電力が集中し、エアコンなどの使用頻度が高くなる夏場にはブレーカーが落ちやすくなってしまうと判断して、そうならないように配線の設定まで変更するという行動をしているのです。
設置工事を終え、「ブレーカーが飛ばないように調整もしておきました」と告げて仕事を完了してきます。お客様は、「そんなことまで気を配って仕事をしてくるなんて、なんて島根電工は素晴らしいんだ」と感動するのです。
■仲良しクラブにならないための極意
先輩が親身になって後輩の面倒を見ていく職場環境が、人を大切にするいい会社には芽生えていきます。その際に陥りやすいエラーが、いわゆる「仲良しクラブ」のようなナアナアな関係の質が組織に巣くってしまうことです。このことについて、先輩の立場にいる社員の方に質問してみると次のような答えが返ってきました。
「確かに、うちは社員同士仲がいいです。そして、何でも言える組織風土があると思います。従って、いろいろな意見や要望が出てきます。その時に注意しているのは、そうした意見や要望が、自分たちが楽をするための内容になっていないかということです。お客様にとってメリットがあるのかどうかという視点で語られているか、ということには気を使っています。」
これは素晴らしいと唸りました。確かにそれならば仲良しクラブにはならないと感じられるからです。
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