第743号 島根ツアー2018での学び

第743号 島根ツアー2018での学び

島根ツアー2018での学び

■深く考えさせられた須山木材のベンチマーク

そうしたなか、同社では島根県内に500ヘクタール、東京ドーム100個分の社有林を有し、外部環境の悪化という要因をものともせずに、永年、売上高経常利益率5%以上という快進撃を続けている優良企業です。さらに須山木材では、植林・育林・間伐など環境保全にも積極的に取り組んでいます。

今年は広島・愛媛を中心に西日本で記録的な豪雨となり、あまりにも多くの地域で土砂崩れ、河川の氾濫・決壊による水害に見舞われ、犠牲者も200人を超える痛ましい災害が発生してしまいました。被災された方々には心よりお悔やみ申し上げますとともに、一日も早く元の生活が戻ることを祈念いたします。

■近年、なぜわが国に自然災害が多発するのか

須山政樹社長は深く考えさせられることを口にされていました。「昔から、森は海の恋人といわれています。美味しい魚を獲りたければ山を掃除しなさいと言われているのです。」山は貯水装置そのもので谷川を経由して海へ注ぎます。そのプロセスでミネラルなど沢山の栄養素を蓄え、海に到達することで豊富なプランクトンが発生していきます。それを魚介類が餌にして豊かな生態系が実現し、豊漁にもなるということなのです。近年、色々な種類の魚が不漁になっているというニュースをよく聞くようになってきました。中国をはじめとするアジア諸外国の発展と食生活の改善により資源を乱獲しているという側面もあるようですが、そもそも魚の絶対数が減少していることが要因となっていることも確かでしょう。その大きな理由が「環境の悪化」に他なりません。

さらに須山社長は指摘されています。「地球のエアコンである山をきちんと手入れすることで温暖化は防止できるはずです。」経済発展を優先し、環境保全を疎かにして地域が砂漠化してしまったところが世界にはたくさんあり、それはエアコンである山や森を破壊してしまったからだとおっしゃいます。そして、今、日本は国中を覆っている森林の保全活動を疎かにしてしまって、循環機能が不全になり、結果として自然災害が頻発するようになっているのだといいます。

戦後、わが国は全土が焦土化し、木材需要が一気に高まり、いたるところがはげ山になりました。国策として植林活動に励み、長い時間をかけて山は再び緑に覆われるようになりました。定期的に間伐し、育林していくことが大事なのですが、経済合理性がないということで業者が育たず、荒廃する森林が多くなってしまったのです。

■原子力より森林力

間伐しないと木々は周りの木に負けないように上へ上へ伸びる競争を始めます。そうすると、根と木のバランスがおかしなヒョロヒョロ型になるそうです。その結果、多雨に対して耐えられない、崩れやすい土壌になっていくのだそうです。確かに今回の災害で、こんなにも簡単に崩落するのかという山の映像がたくさん撮られていました。

日々、森林保全活動をしている須山木材だからこそ、できる指摘の数々だと感じました。もはやわが国は、リスクの高い原子力発電所にマンパワーと公的資金をつぎ込むことをやめて、森林保全に注力していく決断をすべきなのではないでしょうか。

今週は1社の紹介でいっぱいになってしまいました。続きは次号でご紹介いたします。

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