第727号 「社員は家族」ということの意味
2018.3.19
「社員は家族」ということの意味
人本経営を実践している経営者から「社員は家族である」という発言が多く聞かれます。
今週号では、この「家族」について定義づけしてみることにいたします。
世の中で起きているニュースでは、残念ながら家族間のトラブルから、あってはならないような事件が起きていることがたびたび報じられています。
家族とは、誰にとっても最も近い人間関係を築いているものです。よって愛憎相見える状態になります。親は子を思い、あれこれと口や手を出したくなります。子はそれをありがたく思うこともあれば、うっとうしく感じることもあるでしょう。
■経営者が親で社員は子
人本経営で「社員は家族」という場合、まず経営者は親で社員が子であるという関係性を指し示しています。
子供の中には手がかかる子もいれば、同じ兄弟かと思うほどに全く手がかからず成長していく子もいます。社員もまったく同じです。問題の多い社員もいれば、本当に素晴らしい性格の社員もいることでしょう。人本経営では、人を大切にする価値観を重要視していることに共感できている人材を採用する理念採用をして採用に至っていくことが通常です。ですから、一般に比べ、より人間力の高い人材が対象になる訳ですが、やはりある程度の集団になると出来不出来の優劣が生じることは当然でしょう。
けれども、いったん雇用した以上、本当にこの会社で働くことができて幸せな人生だったと振り返ることができるように社員を育てていくことが求められます。問題のある社員であっても、切り捨てることなく向き合って、幸福な人生を歩んでもらうように人づくりをしていくことを不可欠な経営課題として認識していきます。
このことを実践していくことが、経営者の本気度として求められていくのです。
■無償の愛を注ぐ
現実には日々、様々なことが起きて、経営者として判断しなくてはならない場面が次から次へと起きてきます。しかし、どのような場面であっても社員はかけがえのない家族ですから、見返りを求めず、心から成長を願い接し続けていくのです。
まさしく子を思う親心で、その社員が幸せになるように無償の愛を注ぎ続けていくということです。これが「社員は家族」ということの核の部分です。
まともな親ならば子に対して、ただ一方的に甘やかすことだけでなく叱咤激励し、時には勘当も辞さずと強い態度で臨むこともありえます。
社員に対しても同様です。人を大切にする経営は、やさしい風土を築くとともに、たくましい企業文化をつくることでもあります。明らかに向上心を欠いている、あるいは人に迷惑をかける態度でいる、といった場合には、容赦なく社員に対して躾が行われます。
■とても重要な兄、姉の存在
これを「親」である経営者が、すべての社員に目配りしていくことはさすがに限界があります。そこで活躍するのが、先輩である社員の存在です。兄や姉といった立場で、日々後輩に接していき、彼らが真人間になっていくようにサポートしていくのです。
恩義を感じた後輩たちは、先輩たちの背中と心に触れ、いつか自分もあの先輩のようになっていきたいと考え、自発的に自己成長を育んでいきます。この循環が発生すると、その社員は次の新人のブラザー、シスターにと成長していきます。まさしく、恩送りの状態がつくられていくのです。
こうして社内に築かれた家族的絆は、ちょっとやそっとの環境変化にはぐらつかない盤石な組織力を会社にもたらします。これが人本経営の醍醐味といって差し支えないでしょう。
「社員は家族」ということの意味、ご理解いただけましたでしょうか。
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