第723号 人本経営を成功に導く社長、リーダーの器

第723号 人本経営を成功に導く社長、リーダーの器

人本経営を成功に導く社長、リーダーの器

人本経営の必要性、重要性についての認識は、ここ数年一気に高まってきていると感じます。

「人本経営」という言葉が使われていなくとも、その経営のあり方はまさしくそれを志向していると認識できるケースも増えてきました。しかしながら、とてもうまくいくケース、まあうまくいくケース、あまりうまくいかないケース、うまくいってないケースとその結果はまちまちであると感じています。

何が人本経営実践の成否を分けているのでしょうか。

それはズバリ、経営者に尽きると言って過言ではないでしょう。古くから「会社は社長の器以上に大きくならない」とは人が口に膾炙してきた原理です。人本経営では、急成長して大きくすることは目指すべき姿ではありませんが、真理としては社長の器を超えて、人本経営の質は向上しないということは明白ではないかと確信してきました。人本経営を成功に導く社長、リーダーの器とは何なのでしょうか。

一つは本気度の度量です。

人本経営の目的について、社員の幸せを一番に考えて日々行動実践していることだと明言し、そうした行動を本気で日々実践できているかということです。社員第一主義経営だといいながら、職場環境がこれで本当に社員を大切にしようとしているのかというくらい疑問を感じる現場をみることがあります。伊那食品工業がしたことを思い出してください。寒天をつくる製造現場が水浸しで凍えながら作業している現場を本気で改善しようと塚越寛会長は、当時としては破格の設備投資を行い「長靴よサヨナラ運動」を実行し劇的に職場環境を変えていくことから「いい会社」づくりに乗り出していったのです。

言葉で「社員を大切にする」と言っていても、いまだ男女別になっていないトイレや油まみれの製造ラインでは、その社長の本気度に疑問がもたれるのは当然で、このことは単刀直入に社員に伝わっていくことでしょう。逆にいの一番に環境改善に乗り出したのならば、社長が変わろうとしていると社員の心に届くに違いありません。社員を一番に思い行動する本気度の度量の器が人本経営を成就させるかどうかの成否を分けます。

つぎに立ち位置の姿勢です。

これからの人手不足状態の時代に人本経営が生命線になると理解して、企業文化や社風をよくしていこうと気づくまではいいのですが、問題はそこからです。この経営は間違いないのだからと、他社でしている事例を押し付けてもうまくいきません。感謝の気持ちを高めて関係の質を良くしようとしてサンクスカードを導入したものの、社員からはほとんど出てこないでいつの間にか雲散霧消していったというケースもままみることがあります。社員がそういうことを望んでいるかどうかも推し測らずに形から入ってもなかなかうまくいきません。人本経営を成功させるリーダーの器量として、欠くことのできない絶対要件があります。

それは「オレがオレがの我を捨てて、おかげおかげの下で生きる」の実践が出来ているかどうかということです。なにも自己犠牲をしなさいと言っているのではありません。人本経営がいいと思っても、それをキチンと社員に伝えていますか、社員たちとの対話時間を増やして、皆がどうかいう会社にしていきたいか耳を傾けていますかということなのです。

みなさまのご参加を心よりお待ちしております。

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