第717号 バブル模様の2018年頭に強く意識しておきたいこと
2018.1.9
バブル模様の2018年頭に強く意識しておきたいこと
2018年が幕開けとなりました。年頭の当通信に何を書こうか、毎年、結構考え緊張したりします。
昨年末に日経平均株価が、バブル崩壊後の最高値をつけ本年中に株価が30,000円を突破すると予測するアナリストも少なくありません。また仮装通貨ビットコインの高騰が話題になり、あのジュリアナが復活したというニュースが報じられています。時は東京五輪前ということも重なり、2018年はかなりバブル経済に近い様相を呈してくる気配が濃厚です。
ここでどう経営の舵取りをしていくか、これが本年のテーマ性を帯びているといってよいのではないでしょうか。
■今こそ学べ!昭和測器の「一灯照隅」経営
株価の高騰とともに、浮かれだす経営者が増えてくることでしょう。しかし、人本経営を志す者は、こういう時こそ盤石に揺るがず前を向いて進んでほしいと心から願います。
人本経営のレジェンド、昭和測器の鵜飼俊吾会長は、50年近くぶれずに人本経営をひたむきに実践し続け、無借金経営、自己資本比率85%、3年分の内部留保を築き、今、確固たる会社をつくり上げています。
1980年代、日本全体がバブル景気に茹で上がっていました。昭和測器では、実直な人本経営の実践が功を奏し好業績企業になっていました。そのため、「あなたのところはお金も余っているし、金はどんどん貸すから、株をやらないか、土地を買わないか、マンションを買わないか、ゴルフの会員権を買ったら来年は倍になりますよ」という話が毎日のように押し寄せてきたそうです。しかし、鵜飼会長は一切こういうものには手を出さずに狂気の時代を乗り切っていったのです。そして、今語られています。
「汗をかかないお金をシャットダウンするということでやってきました。これがゆえに、現在の会社があると言ってもいい」
何故、鵜飼会長はぶれずにバブルをやり過ごすことが出来たのでしょうか。実家が金儲け主義に走り一度、経営破たんをするという苦い体験とそこからの心底の学びが鵜飼会長に強い精神力をもたらしました。そして、理屈としてしっかりとした考え方をもっておられたのです。ご高書『一灯照隅』(法令出版/非売品)で、汗して得た利益以外は追わないということに強い覚悟をもつことだと強調されています。
■本業以外の浮利を追うと結局どっちに転んでも駄目になる
強い覚悟がないと、「そうは言っても、会社が上手くいかなかったりしたときのために、とんとんのままの現状を変えたいから、ここ一、二年赤字なので」とどの会社でもなっていきます。
そうなると何を考えるかというと、どうしても利殖のほうへ走っていきます。健全な国債を買うとか、投資をやりたいとか。そして、そういう経営者はさらに言い訳を続けます。「投機ではなく投資だったら正常ではないか?なぜ国債を買ってはいけないのか?本業で一生懸命やって、その合間にしか時間は使わないのだから、汗しない利益だってやってもいいではないか。両方で儲かったら会社は早く立ち上がる」と。
この考え方に対して、明確に鵜飼会長は真っ向から反駁します。楽をして利益を求めるという気持ちが、どれだけ経営の心を鈍らせて、腐らせていくか。この気持ちで経営をしていては、どちらに転んでも駄目だとバッサリ結論を出しておられます。
「バーンと赤字になったら本業は傾くに決まっている。バーンと儲かったら自分がやろうとしている本当の覚悟なり経営が必ず疎かになります。」
また次も、とか、本業は誰かに任せておけばいい、私は私なりにしっかり稼ぐからと言って本業を捨てていくことになり、未来が暗く乏しくなっていのは明白です。結局、浮利を追うことは、どちらに転んでも会社を潰すと鵜飼会長は覚悟していると語られています。この覚悟と信念がバブル期を乗り越えさせ現在の繁栄をもたらした要因だったのです。実際に、当時、周りの経営者の多くは浮利に手を染めていき、短期的な利益は得たものの、長続きせず現在に至っては存続していないと鵜飼会長は回想されています。
まさしく文字通り、浮利は不利なのです。
ぜひ2018年は、このことを胸に刻んで、いろいろと目の前に訪れてくるであろう誘惑に惑わされることなく、本業での発展成長を築くために全社一丸となった人本経営を前進させていただくようにと当通信の読者の皆さまには年頭にあたってエールを送ります。では今年も前へ前へ。
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『人本経営まつり2018』 東京2/16 大阪2/23 開催
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2018年は、御社の「いい会社づくり」に貢献させていただけましたなら幸甚です。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
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