第690号 希望職種よりも働きやすさを優先する今どきの若者
2017.6.26
希望職種よりも働きやすさを優先する今どきの若者
ここのところ経済の最先端である物流のトップ企業、ヤマト運輸での働き方改革関連の動向をレポートしています。
その物流界の総合専門誌の最新記事が興味深いので紹介させていただこうと思います。
★積極的に仕事の魅力発信 「働き方改革」で変わる人材採用
http://www.weekly-net.co.jp/logistics/post-13349.php
「昨年、大企業の長時間労働が相次いで発覚したが、今年の就職・採用活動におけるテーマは、まさに「働き方改革」ではないだろうか。企業側も離職率や残業時間など積極的に開示するようになった。隠すと求職者から不信感を持たれてしまうというのが一因のようだ。企業の開示姿勢や内容によって、企業が従業員をどれだけ大切にしているかも判断されるようになってきている。今後の就職活動・採用活動は、日本の労働環境そのものを変える可能性も秘めているのではないだろうか。中小企業も、その変化の波に乗り遅れてはならない。」
まるで当通信のような書きぶりでレポートが始まっています。まさしくそのとおりとしか言いようがありません。
「中小企業が有利な点はどこか。第一に、採用の現場に経営者が直接立ち会いやすいという点がある。面接時に自分に向かって熱意を見せ、話してくれた社長は印象に残りやすい。直接、求職者に語りかければインパクトがあるのではないだろうか。」
これまた先月末に発行した当通信第686号『大企業との新卒獲得合戦に勝つ採用のあり方とは』で指摘した内容と同様の趣旨が述べられています。
■人本経営の実践で最も効果が出やすい採用
人本経営を実践している企業から「人材採用について好転している」という情報がフィードバックされることが多くなってきています。
2010年に「幸せ制作会社」に社是を変え、人本経営を前進させている会社があります。今年入社した新卒者の中には、この社是が目にとまり、同社を知れば知るほど「絶対にここでしか働きたくない」という思いを募らせて応募し、採用された人がいます。希望が叶って入社した後は、偽りのない幸せ軸経営のなかで、極めてモチベーション高く働いています。
昨年から人本経営の実践を始めた保育園では、みるみる社風がよくなっています。同園に子供を預けている利用者の保育士が「ぜひ転職したい」と履歴書を持参して来たり、ホームページを見た新卒予定者が「採用してほしい」と熱いメッセージを送ってきたり、ということが実現しています。保育士は、5倍といわれる有効求人倍率の中で人材の争奪戦になっていますが、求職者が向こうからやってくるという理想的な状況を実現しているのです。
同じく昨年から人本経営を実践している製造業では、就活の求人広告や会社説明会で「当社は明確に業績軸から幸せ軸へ経営の舵を切り、社員が働きやすい会社を本気で目指している」と打ち出し、あっという間に10名の採用を実現しています。
実は、人本経営を実践していくと、その効果を真っ先に感じられるのが、この「採用」なのです。
人を大切にする経営理念を定め、その思いを社員一人ひとりと実現にむけて誓い合う行動基準が定められると、「わが社が大切にしていることは社員が幸せになっていくこと」というメッセージが求人広告や会社説明会でインパクトをもって求職者に伝わります。特に人本主義に親和性の高い平成世代には、確実に届きます。まさしく、中小企業が大企業に比して遜色ない活動が出来るのです。こんな素晴らしいことはないのではないでしょうか。
前出の幸せ制作会社の新卒の一人は、ブライダル産業に入ることを夢見て就活にのぞみましたが、そこで働く社員たちに幸せが見いだせずにいました。そんな折、同社の存在を知って入社してきました。このことは、今の若者は知名度・規模・希望職種よりも、働きやすさ・信頼できる仲間の方を優先していることを示しています。「何をやるかより誰とやるか」、ここがこれからの採用の突破口になるのです。
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