第687号 出生数100万人割れ~不退転で人本経営を実践する

第687号 出生数100万人割れ~不退転で人本経営を実践する

出生数100万人割れ~不退転で人本経営を実践する

先週、少子高齢化が解消の方向どころか、さらに進展しているという衝撃の報告がされました。とうとうわが国の出生数が100万人割れとなってしまいました。以下、6月3日の日経新聞で「30代前半も出生率低下 育児環境・働き方改革が急務」とタイトルづけされた記事を引用します。

★30代前半も出生率低下 育児環境・働き方改革が急務

日本の少子化に歯止めがかからない。厚生労働省が2日発表した人口動態統計によると、2016年の出生数は100万人を割り込んだ。上向く兆しのあった出生率も伸び悩む。政府は「一億総活躍」を掲げ、経済の活力向上に取り組むが、肝心の人口維持は絶望的。流れを変える思い切った政策が問われる。

出生数のピークは1949年の269万6638人。当時は団塊の世代が生まれた第1次ベビーブームのころ。今はこの3分の1程度しかない。

出産適齢期の女性の数が減り、未婚率が上昇したのが響いている。これまで出産適齢期の人数が減っても、30代の出生率は回復していたが、16年は30代前半の出生率が11年ぶりに低下。20歳代の出生率は低下傾向が続くだけに、30代の失速は今後に尾を引く。

(『日本経済新聞』2017年6月3日より)

出生数は、高度成長をもたらす要因となった団塊の世代の頃に比べ3分の1にまで落ち込んでいるということです。単純に考えると今後、経済規模が3分の1になっていくプロセスをわが国は確実に進んでいるということになるでしょう。

すでに事業者数はピーク時であった1986年の535万者から2014年の380万者に減少していることが発表されています。すでにほぼ3分の2の水準となっています。今の少子高齢化の流れのままで推移していくと、30年後には200万者程度になってしまうのではないかと危惧されます。

実際、人手不足で若手が採用できない企業は、高齢の労働者だらけになり、やがて命運が尽き果てるしかありません。若い人が働きたくなるような会社をつくらないとこの先、確実に企業寿命は30年しかないという危機感を経営者はもたなければなりません。

だからこそ働き方改革が叫ばれている訳ですが、会社を変えるときには抵抗勢力が出てくる、ということが往々にしてあります。既存の価値観に慣れ、変わろうとしない古手の社員たちの抵抗です。

これに人本経営の実践を阻まれるケースが実際にあります。

経営者の本気度が試されるところです。しかし、この試練を乗り切るからこそ、30年後、そしてその後も永続する企業になれるのです。

不退転で「人を大切にする人本経営」を根づかせる努力を本気でしていきましょう。

業績軸から幸せ軸へ経営の舵を切り変えていこうとしたときに、変化をきらう社員が出てくるかもしれませんが、冷静に考えれば社員にとって、それは間違いなく望ましい方向への経営革新なのです。ですから、「そういう方向へなら自分もよく変わっていきたい」と考えて行動をし始める社員もまた必ず出てきます。

■変わろうとする社員中心の会社をつくる

抵抗勢力との丁寧な対話は不可欠ですが、彼らが変化することを待っていては事が前に進みません。変わろうとする社員さんたちの方に視線を合わせて経営革新、働き方改革を進めて行くことが重要です。

長時間労働が当たり前、仕事のノウハウは盗んで修得する、寡黙に仕事を進めていく、などといった従来の業績軸ベースの会社のやり方が長く体に沁み込んでいる古手の社員は、会社で実権を握っていることもあり、社長のしようとしていることに耳を貸さない態度を取ったり、場合によっては宗教的だなどといったりして批判行動に出てくるかもしれません。ここでは怒らずに、間違いなくいい方向へ会社を導いていくのだという確信をもって、変わろうとする社員をサポートしていきましょう。そして、何より社長自身が日々、幸せを実感している状態を自ら作り続けていくこと、これが重要です。

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