株式会社ヘッズ 様2010年から人本経営を実践
- 代表取締役
- 暮松 邦一 様
- 株式会社ヘッズ
- 業務用包装資材やラッピング用品などの企画制作から販売までを手がける企業。独自の企画力により、洋菓子店や雑貨店など全国34,000社にのぼる取引先を持ちます。「人を大切にする経営」を実践し、2019年にホワイト企業大賞の特別賞『幸せ追求経営賞』を受賞。 1985年創業。従業員80名(2024年2月現在)。本社:大阪府大阪市阿倍野区。
- https://www.heads-jp.com
人本経営との出合い
会社員だった私は、1985年に念願の起業を果たしました。10年が経ちようやく人を雇えるようになったものの、離職率は3割に達し、右腕と信頼していたスタッフまで突然退職してしまいました。なぜだろう。悩んだ挙げ句、組織づくりの本を読み漁り「同じケースを解決した例」を探しました。そんなとき手にした1冊が(株)SVCの小林秀司先生の著書『元気な社員がいる会社のつくり方』でした。「これが私の求めていた組織の姿だ」と直感。本を読み終えた翌日にSVCに伺い、小林先生の話を聞いたことが「人本経営」との出合いです。
経営トップ・経営幹部に聞く
暮松代表にお話を伺いました
売上至上主義から幸せ至上主義への変革で お客様や求職者から選ばれる企業へ
なぜ人本経営を実践しようと決意できたのでしょうか?
人が辞めない会社へ「スタッフの幸せ第一」に思考を転換
暮松代表: |
「まずスタッフから幸せにしていく」という「人本経営」の思考を小林先生に学び、非常に感銘を受けました。なぜなら、それまでの私は「お客様第一」だと信じて疑わなかったからです。 そこで小林先生の力添えを得て、「スタッフの幸せ第一」の思考に転換し、組織変革の取り組みを始めることにしました。 人本経営への転換を決定づけたのは、「いい会社視察ツアー」に参加し、他社の事例を実際に自分の目で見て体験したことです。 どの会社を訪問しても皆さんが明るく、親身になって対応してくださる。社内がよい雰囲気に包まれ、掃除が行き届いている。スタッフの皆さんと経営者の距離が近く、全員が同じ目的を持って動いていることがよくわかりました。 離職率の高さに苦悩していた私は、人が辞めない社風をつくるためには、こうした人を大切にする「いい会社」の経営方法が必要だと目が覚めた思いでした。「人を大切にする会社」を目標に進む決意をし、小林先生による「社風をよくする研修」をスタートしました。 |
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人本経営を実践するうえでSVCをパートナーに選んでくださった
理由を教えてください。
「人を大切にする経営」の思考が実践と一致していた
暮松代表: |
小林先生の著書に書かれていた内容と、「いい会社視察ツアー」で見た「人を大切にする経営」が一致していたからです。小林先生のおっしゃっていることと、実践されている会社の実情がぴったりと合っていました。 小林先生からさまざまなことを学ぶなかで、最も良かったのは、社是、クレド、経営理念の重要性に気づき、その変更・再設定ができたことです。 「人を大切にする経営」へと会社の在り方を変えるのですから、それにふさわしい社是、経営理念、クレドを定めなければなりません。しかし、経営者一人でそれらを策定していくのは非常に難しいため、小林先生と一緒に時間をかけて言語化していきました。 社是は「感動創造企業」から「幸せ制作会社」(現在は幸せ創造会社)へ変更し、経営理念には「多くのしあわせを創りだすことにより社員がしあわせになり、支持され、成長する会社になる」を掲げました。 |
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SVCのどんな点を評価いただいているのでしょうか。
「教育」ではなく「共鳴」する組織づくりのパートナー
暮松代表: |
小林先生にやっていただいている研修は、人間力を上げるための研修なので、私は「教育」という言葉は使いたくありません。「共鳴」に近いと考えており、学びを重ねてスタッフと「共鳴」できるようになりました。それは小林先生が「ティーチング」ではなく、「コーチング」によってスタッフの意見を引き出し、社内が共鳴するように導いてくれたからです。頼れるパートナーです。 社内が「共鳴」しているので、社長、マネージャー、チーフ、スタッフというピラミッド型の組織ではなく、同じ目的を目指す「同志」のような横並びに近い組織になりました。 社是、経営理念、クレドを再設定し、浸透させていくなかで、何のために仕事をしているのか、その目的をみんなが理解し、全員で歩みを進めています。 |
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人本経営の実践により、会社にどんな変化がありましたか。
求めていた人材を採用でき、幸せを創る好循環が生まれた
暮松代表: |
社是、経営理念、クレドは一人ひとりの心に浸透し、行動に反映させてこそ意味があるため、朝礼時に唱和するようにしました。毎日繰り返すうちに「なぜ仕事をするのかが腑に落ちるようになってきた」と話すスタッフが増え、この会社で働くことは幸せだと感じてもらえるようになりました。 幸せな職場づくりを一人ひとりが考える場として、毎月、全員参加で「経営理念勉強会」を開きました。いい会社の本を読んだり、実際に他社を訪問し、「いい会社で働く社員は何を大切にして仕事をしているのか」それぞれの気づきを出し合うなど、対話を促進しました。「よい社風づくり」が進み、仕事の充実感が醸成されたと思います。 何よりも大事なことは人間関係だと理解し、社会に対して自分たちがあるべき姿をみんなが考えられる組織へと成長しています。それが私たちヘッズの強みになっています。 会社としても、社是である「幸せ創造会社」実現のための環境づくりに取り組みました。例えば、食事会やイベントの定期的な開催や社内委員会を発足させて社内交流を図る。またスタッフ家族への感謝を伝えるために参観日を設けるなど、家族への情報発信にも努めました。 本音で話ができる関係性が育まれ、スタッフが自発的に会議を開き、「会社がよくなるにはどうすればいいか、お客様の幸せを創るには何をするべきか」を話し合うようになりました。自走する組織に成長することによって離職率は大幅に下がり、勤続年数が伸びるようになりました。 採用にも良い変化がありました。会社訪問の際に当社の社風に触れ、スタッフの対応に共感してくれる、求めていた人材が入社してくれるようになりました。社風にマッチした人材の採用によって、今後、幸せを創る好循環が生まれていくと考えています。 自分たちの想いを伝えて行動できるようになるなどお客様対応が向上し、お客様から感謝のメッセージをいただくまでになりました。 結局、「お客様第一」の売上至上主義から、「スタッフの幸せ第一」の幸せ至上主義へと変革することによって、お客様から喜んでいただける組織づくりができました。 |
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将来展望
暮松社長にお話を伺いました。
経営トップが語る夢
ヘッズが描く将来展望
スタッフが幸せに働ける環境を磨き続ける
人を大切にする経営を継続してきたことで、よい社風に包まれて「自走する組織」が形成されました。スタッフが自分たちで目標や計画を定めて実行し、達成する流れが生まれて次世代のリーダーが育ち、私も事業継承を考えられるようになりました。
今後はヘッズとしてのDNAをさらに磨き、次のリーダーが力を発揮してくれることを期待しています。
これからも、スタッフ全員が幸せな状況で働ける環境づくりを発展させていく。それが私の将来展望です。
暮松 邦一 代表取締役は、2023年6月に『小さな会社は「人を大切にする経営」で成功する』と題し、これまでの取り組みを書き下ろした新刊を上梓されました。
SVCからのメッセージ
社長の行動力でいい会社へ、そして永続の道へ
2010年、自著を読んでくださった大阪の暮松社長は、翌日のお昼には東京・神田にある私の事務所へ来てくだいました。その行動力に驚き、面談後すぐに意気投合しました。ヘッズ様がSVCにとって記念すべき人本経営の指導先第1号となったのです。 暮松社長は「社風をよくする研修」に頼るだけでなく、いい会社の事例を徹底的に学び、他社が実践している組織風土をよくする取り組みをヘッズ様らしくアレンジし、矢継ぎ早に導入していかれました。それが功を奏したように感じます。 会社の組織風土のレベルや現状の幸福度を測定する「社員意識調査」も定期的に実施いただきました。調査の結果、充足度指数が60%を超えると「いい会社」と認識でき、70%に到達するレベルになると魅力的な風土が醸し出され、人がたくさん集まるようになります。 まさしく充足度指数の上昇とともに、ヘッズ様では離職者が減少していき、定着率が大きく伸びていきました。就職希望者が多数集まり、新卒者があこがれる会社になりました。 そして、花屋さんや菓子店などの小売店のお客様からは絶大な信頼を得て、好業績をキープされています。好業績に加えて人に関する悩みがなくなったヘッズ様は、永続の道に入ったと感じています。人本経営は永続をもたらす取り組みであることを体現されています。
株式会社 シェアードバリュー・コーポレーション
代表取締役 小林 秀司
導入いただいているSVCのサービスとその活用方法
一人ひとりの人間力と関係性が向上 カリキュラムの進化も魅力
導入概要
- ・2010年から定期的に開催し、受講を継続中 ・パート従業員を含む全スタッフが受講 ・チーフ向け、マネージャー向けなど役割別でも実施
10年以上継続している理由
売上を上げるための研修ではなく、人間力の向上を目指した研修であることが継続の大きな理由です。どう生きていくのか、どのように考えて行動すれば人間関係の質を向上できるのか、といった問いに対して人の意見を聞き、自分の考えを伝えるなかで人間力を磨いていきます。スタッフの関係性が向上していくのを実感できます。 小林先生が組織の成長や課題の変化をよく見て、カリキュラムの内容を進化させてくださっている点も、受講のモチベーションになっています。社風をよくすることにゴールはないので、過去に受講経験があるからといって学ぶことをやめず、今もスタッフ全員が学び続けています。
社内の変化や社員の成長
上意下達ではなく、同じ目的に向かって進む「同志」といったフラットな関係ができました。人間関係の大切さ、社会に対するあるべき姿を全員が考えるようになり、家族やお客様に対する「思い」が自然に出てくる風土が醸成されました。それは来社されたお客様や取引先、求職者の皆さんも感じてくださっているようです。
社風の変化を定点観測 結果を研修に反映して有効活用
導入概要
- ・2012年に1回目の調査を実施し、以来、定期的に実施 ・調査結果で明らかになった課題を「社風をよくする研修」において解決促進していくように内容に工夫改善し、経営理念勉強会そのものもブラッシュアップしていきました
「社風をよくする研修」と連動して実施
長年にわたり「社風をよくする研修」を受講しているため、定点観測という位置づけで「社員意識調査」を定期的に実施しています。 調査結果から明らかになった組織の課題に対し、その解決を目指したカリキュラムを小林先生に「社風をよくする研修」に反映いただいています。研修と調査を連動させて活用できていると思います。
調査実施による組織の変化
これまで「社員意識調査」を4回実施しており、幸福度・満足度の指数は上がっています。4回目の2022年の実施時は、総合充足度は76.2でした。小林先生には「よい結果」とほめていただきましたが、今後も研鑽を積んでいきます。
百聞は一見にしかず 「いい会社」とは何かを学び続けたい
導入概要
- ・最初は社長が参加し、現在も定期的に参加 ・管理職も参加し、現在はスタッフも参加を検討中
ツアー参加の理由
「いい会社視察ツアー」に参加すると、百聞は一見にしかずと実感します。例えば、2023年に「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞で審査員特別賞を受賞された、外食チェーンの株式会社坂東太郎さんへの訪問では、まさに「いい会社」を体感できました。 店舗で食事をいただいて接客の素晴らしさを知り、社長の講演を聞いて人を大切にする経営を学びました。 今後も「いい会社視察ツアー」に参加し、できるだけ多くの他社の事例をスタッフに体験してほしいと考えています。