第1004号 売上至上主義の業績軸限界企業が、また破綻
2023.9.11
売上至上主義の業績軸限界企業が、また破綻
また業績軸の売上至上主義で無謀な経営に突っ込んでいった限界企業の破綻が大々的に報じられています。
給食会社の株式会社ホーユーが9月1日破産申請をしたというニュース。
契約していた全国の学校や寮などで突然、給食の提供がストップして大混乱に陥っております。
ここ最近の相次ぐ諸物価高騰にも関わらず、数年契約していて委託費のUPができず、
また要請にも応じてもらえず突然、経営者の山浦芳樹社長は放り出してしまいました。
8月31日に支払われるべき給料が支払われず、従業員に会社から送られてきた文書には
「国税からの消費税の納付を8月31日に強制させられたため支給が不可能になりました」と書かれ
謝罪の言葉は添えられていましたが、現在までに会社からの連絡はないということです。
情けない限りです。
顧客の多くは行政機関で、入札という過当な価格競争の被害者という見方をする向きもありますが、
そんなことは論外です。
一部報道によれば、ある公共機関からの給食事業の受託に際し、
A社が1億何千万、B社は6000万弱、ホーユーが1800万だったということです。
これをみても、ただ売上を上げたい一心の業績軸の経営をしていたことがわかります。
ホーユー事件の教訓
1.値決めができる企業になることの重要性
これまで30年近く続き、そしてこれからも少なくとも20年以上続く、
生産年齢人口が激減していく右肩下がり経済社会にあって、
事業をゴーイングコンサーンできる利益を確保するための売上高を確保できる体質にない企業は、
このホーユーのように早晩破綻していくだけです。
人本経営に成功している企業は、ある時から脱下請けを志向し、自社にしか提供できない商品を開発し、
それが社会に必要とされることで高収益体質を実現しているケースがほとんどです。
例えば、香川の徳武産業もスリッパや運動靴製造を大手靴メーカからの下請けに依存する企業でしたが、
あゆみシューズというオリジナルの介護シューズを商品開発し大ヒット製品へと成功させています。
下請けのビジネスモデルは右肩上がりの経済環境があればこそ成り立つということを肝に銘じて、
そういう体質の会社は、自社の独自商品づくり、研究開発に経営資源を投入すべきです。
それは経営者の使命だといってよいことです。残された時間はそう多くはありません。
不退転の決意をしていただきたい。
2.行政、公的機関こそ人本経営の実践が必要
入札制度ももはや時代にあっていません。業者に無理させて破綻したら、結局、被害は自分たちが被るのです。
業者にも適正な利益が確保できるような受注額を設定して、その額以上の最も近い業者の提案を採択していき、
たとえ安くともそれ以下の入札をしてきても受注しないように
方針を変えていただきたいと強く要請したいと感じます。
そうしたことを実践していくためには、
公立学校や施設の経営者も人本経営の考え方を取り入れていって
実践していただくことが重要だと進言したい。
3.最終的に政治が変わることが必要
2.を実現するためには、予算配分の問題をクリアしなければなりません。
となると、政治が「人を大切にする幸せ軸」を重視する政策を実現していくように
変わっていく必要も大いにあります。
ただ、現政権、そして国会をみていると、その実現は果てしなく距離があると感じてしまうのが現実です。
ここは暗澹たる気持ちにさせられますが、人を大切にする経営をどんどん増やして、
社会に影響を与えていくようにして共感する政治家を増やしていく取り組みを
地道にしていくことしかないでしょう。
人本経営の輪を広げていくことに尽きる
やはり人本経営の伝道で一燈照隅から万燈照国の活動の輪を広げていくことなのだろうと帰結します。
安い仕事は受けないと決断をこの先はしていきましょう。
道徳なき経済はビックモーターのように社会に罪悪をまき散らし破綻、
経済なき道徳もホーユーをみるまでもなく持続できません。
高知のビルメンテナンス業を営んでいる四国管財の経営者中澤清一さんは、
相見積もりで最安値の会社と取引するという新規案件がきたら即答で「ウチはいいです」と断るときっぱり。
ビルメンという経費産業ですが、新規営業を一切せず、口コミだけで業容を拡充させているのです。
働いている社員が人本経営により、
現場で付加価値を提供できる優秀な商品に育っているからこそ出来るのです。
世の中の大勢がこういう会社になったならば、
多くの人が心から幸せを享受できる素晴らしい世界になるに違いありません。
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これを契機に、さらに人を大切にする人本経営について
伝道していく使命を色濃くしていきたいと考えています。
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