第981号 企業経営における「幸せ」の定義Ⅰ ~社員の健康実現
2023.3.20
企業経営における「幸せ」の定義Ⅰ ~社員の健康実現
企業経営において「幸せ」をどう定義するか。
今、いちばん重要な経営課題になってきていると感じています。
「幸せ」は価値観であり、価値観は人それぞれですから、
定義付けすることは確かに困難な作業であるといえます。
それでも最大多数の労働者にとって、
その状態であれば人生の充実という観点から、
より望ましいといえる「あり方」はあるのではないでしょうか。
まずは貧困でないこと、
生活に困らないことは礎として必要不可欠な状態といえることに
異論を唱える方はいないでしょう。
マズローいうところの欲求5段階説の第一階層の「生存の欲求」、
第二階層の「安全の欲求」が充たされている状態です。
生きていくために必要な本能的な欲求(食事、睡眠、排泄など)と
安心安全で心身ともに健康で経済的にも安定した生活が実現できていることです。
この欲求が満たされると日常生活に不満がほぼなくなります。
そして美味しいものをいただけたときに「幸せ」という感情も抱くことになるでしょう。
この「幸せ」は企業努力以前に、
国家が平和を実現しているという大前提が必要になります。
戦後まもなく80年を迎えようという現在、
平和は当たり前に享受していますが、
歴史を振り返れば、これを享受できることは本当にありがたいことであると気づけます。
現代もなお、世界は戦争状態やテロの脅威で
平和が一瞬にして崩壊している地域があることを私たちは知っています。
世界情勢は常に激動していきます。
政治に関心を持ち平和を維持することへの努力を
社員である前に一人の国民として果たすことを怠ってはいけないことを
肝に銘じたいものです。
その義務も果たさずに「幸せ」を求めるのは釈根灌枝そのものとなります。
「釈」は捨てる意。「灌」は水を注ぎかける意。
木の根に水をやらないで、枝に注ぎかける意から
物事の根本を忘れるたとえのことですが、
まさしく、そのとおりといえる戒めでしょう。
平和維持の努力が実っている社会において、
企業経営で「幸せ」を実現していくために
どのような状態が求められるか考察をしていきます。
社員の健康実現が「幸せ」の一丁目一番地
ここまで踏まえて考察すれば、
社員が健康でい続けられれること、そして生活に困らない賃金が支給されていること、
職場で睡眠障害を引き起こされるような労務トラブルに巻き込まれていないこと、
さらには家庭の事情で仕事の両立が困難なときに
支援の手が差し伸べられているかといったことを
経営者、経営陣が考慮し、経営方針として打ち出し、
実際にそのことが実現されているかどうかが
「幸せ軸」の経営ではいかに重要であるかと悟ることになります。
社員の健康診断受診は法定義務ですが、
これすら実施していない会社がこの日本には未だ存在します。
あってはならないことです。
そんな経営者は即刻退場してもらいたいものです。
ボスマネ、パワハラを一掃するのは経営者にしかできない仕事
昭和の労務管理を改めず
ボスがパワハラをしていて社員がうつ病に苦しんでいたり、
離職率が高いにもかかわらず
その行為をしているベテラン社員を放置している経営者、経営幹部も少なくありません。
これももう「幸せ軸」経営の実現の大敵です。
経営者自ら、そのベテラン社員と対峙して変化を求めていくことです。
どうしてもその者が変わらないという事態に至れば
袂を別つくらいの覚悟で望まない限り
企業経営に光明は射してはきません。
企業内部の労務管理なので、
残念ながらそのことは私たち人本経営の伝道者はできないことです。
経営者にしかできない仕事です。
その実践が経営者の本気度そのものなのです。
今、賃上げしない経営者も退場すべき
あらゆる物価が上がり続けていく中で、
賃金を上げない経営者も「幸せ軸」経営の実現から大きく遠のきます。
あなたが社員なら、今この情勢で賃金を上げない会社で働き続けていたいでしょうか?
転職しようと考えるに違いありません。
賃上げしたら倒産しますか?そんなことはないでしょう。
社員の生活を守るために行動してください。
できれば5%昇給を実践してください。
そうすれば社員の心に届きます。
言われ続けていることですが、ピンチはチャンスの芽なのです。
座して死を待つような態度をしてはなりません。
今週号では、まだ「幸せ」の定義の大前提の入り口でしたが、
厳しい論調になってしまいました。
しかし、そこに真理があることは確かですし
成し遂げてこそ未来があるのです。(以下、次号)
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