第976号 「幸せ軸」経営虎の巻一~三 経営方針・社長・生涯現役
2023.2.13
「幸せ軸」経営虎の巻一~三 経営方針・社長・生涯現役
第974号で「業績軸」と「幸せ軸」の違いを表にして提示しました。
今週号から、この解説を試みていきたいと考えます。
題して「幸せ軸」経営実践の虎の巻。
虎の巻その一 経営方針が「社員第一」であること
顧客を喜ばせて結果として会社に業績をもたらすのは、社員以外にあり得ません。
ゆえに一人ひとりの社員が
最高にやりがいと働きがいを高めていく経営環境をつくるという意思が最優先で
経営方針になっていることが出発点です。
2010年に初めて人本経営の水先案内をさせていただいたのが株式会社ヘッズ。
暮松邦一社長は、その経営理念に
「社員がしあわせになり、支持され、成長する会社になる」と明確に打ち出しました。
この言葉に嘘偽りなく事業を遂行し、
今や押しも押されもせぬ大阪を代表する人本経営実践企業として
発展を遂げています。
その方針で年々社風は磨き上げられ、
その風土にたくさんの就職希望者が殺到し
どんどん優秀な人財が集うようになりました。
事業は安定し人のことで困らなくなってきたので
同社は完全に永続の段階に入ったみることができるでしょう。
虎の巻その二 社長の意義(存在理由)は使用者でなく「社員の代表」であること
幸せ軸の人本経営を志している経営者は、
自分が社員の代表者だと考えて行動していきます。
その行動がはっきり明確に出るのが社会的な変動により経営危機が襲ってきたときです。
今回のコロナ禍でもこのことがたくさんの同志から伝わってきました。
当通信が「幸せ軸」の重要性をメッセージし始めた2008年にすぐに共感して
その後人本経営を邁進している株式会社シティコミュニケーションズ。
三田大明社長は、
世の中にコロナ禍の暗雲が垂れ込み緊急事態宣言が発令されたそのとき、
以下のようなメールを当方に届けてくれました。
*
小林先生
本物かを試される時が来ました。
今回わが社は、一人の社員も絶対にリストラしません。
35名、内定者、全員取り消しももちろんしません。
「辞めさせる時は、会社がつぶれた時。その時は俺もリストラ」
と、朝礼で宣言しました。
必ずこの難局を全社員一丸となって切り抜けます。
もう私が何も言わなくても、社員たちが今何をすべきかを各々がそれぞれ考え、
行動してくれています。
「全社員の雇用、人生を守ること」
乗り越えた後、新しい価値観の未来を作ることを信じて、
私だけでなく、全社員が、「覚悟は出来ています!!」
*
当時大企業はこぞって内定の取り消しをしているとニュースは報じていました。
そのような不安な情勢下、そこで働いている社員ならば、
この危機に放り出されずに、雇用を守ってほしいと誰もが願うことでしょう。
だから、社員代表である経営者自らが、
「誰もリストラしない」といの一番に宣言出来るのです。
このようにコロナ禍に毅然と立ち向かっていた弊社のクライアントは、
例外なくV字回復を遂げ、さらに一段とたくましく、そして優しく育っています。
虎の巻その三 終身雇用を前提としていること(生涯現役を実現する)
今、流行りの人的資本経営やパーパス経営を掲げている職場でも、
できていないというか前提として捨て去っているのが、この終身雇用の実現です。
その会社が「幸せ軸」であるのかどうかが明確に判断できる絶好の着眼ポイントです。
ヘッズやシティさん同様に、早くから人本経営を実践している株式会社ゲットイット。
廣田優輝社長は、未来工業をよくベンチマークしていて、
社内クラブ活動の導入などを実現しています。
そして、この生涯現役ということについても思いがあり、
すでに同社の就業規則では80歳までの就労が可能になっています。
しかも75歳までは基本的に昇給し続けていく仕組みをつくっています。
制度導入時は社員が若く将来のことでしたが、
大企業を60歳定年で勤め上げた高齢者が同社に再就職してくる呼び水となり、
今、なくてはならない人財として大活躍しています。
これぞ「幸せ軸」の醍醐味といえるのではないでしょうか。
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