第820号 世界で最もSDGsな100社

第820号 世界で最もSDGsな100社

世界で最もSDGsな100社

ランキングを決定づける基準として、以下の21項目のKPI(重要業績評価指標)が設定されています。

◎エネルギー生産性
◎温室効果ガス生産性
◎水生産性
◎廃棄物生産性
◎揮発性有機化合物生産性
◎窒素酸化物生産性
◎硫黄酸化物生産性
◎微小粒子状物質生産性
◎イノベーション力
◎納税率
◎CEOの報酬と従業員の平均報酬の比率
◎企業年金
◎サプライヤーのサステナビリティ・スコア
◎休業災害率
◎死者数
◎離職率
◎経営幹部の女性比率
◎取締役の女性比率
◎サステナビリティ目標と連動した役員報酬制度
◎罰金の割合
◎クリーンレベニュー(クリーンテクノロジーなど環境・社会への貢献度の高い製品やサービスから得た収益)

企業活動が気候変動につながるような地球環境に及ぼす実害を排出していないという視点から、自然科学系の指標が多く採用されていることは当然として、太字で示した離職率や労災休職率など、約4割にあたる8項目で経営人事、労務系の指標が用いられているのが興味深いです。SDGs開発目標8「働きがいも経済成長も」の領域に関連する内容で、ここは人本経営の領域といって差し支えないでしょう。

このKPIについて人本経営ベースで考えるとどういうことがいえるか考察してみましょう。

●CEOの報酬と従業員の平均報酬の比率
言い換えるならば適正な労働分配率で経営されているかということになるでしょう。人本経営では業界や世間相場平均を超える賃金を支払うという特徴に符合します。

●休業災害率、死者数、離職率
労災発生率、それも死亡事故や長期休職となるような重度労災の発生は、人本経営では御法度中の御法度ですし、社員が辞めない組織が形成されるので低離職率は当然に実現されていきます。

●経営幹部の女性比率、取締役の女性比率
人本経営実践企業でもこの項目は正直、今後の課題という会社が少なくないかもしれません。しかし、男女区別、差別なく、むしろ女性がより働きやすく、家庭の事情を優先させて働くことが出来るように処遇していくことは人本経営のセオリーですから、女性社員が望むなら、管理職や役員への登用を進めていくということに抵抗はないでしょう。

●サステナビリティ目標と連動した役員報酬制度
これは意識していなかった部分です。労災件数や無事故日数、離職率やCO2の削減目標達成などが役員報酬の評価項目に連動していくような人事制度を今後、作り上げていくことはチャレンジングな経営人事課題として意識しておきたいと感じます。

●納税率
これも人本経営では自己資本比率を高めていくことを強く意識しますので、納税率は高い企業が多いのが実態です。税金を支払った後に利益は得られ、それが内部留保の原資になり、持続可能性を高めていくと考えているからにほかなりません。

●イノベーション力
地域や社会にとってなくてはならない存在になるために、教育や研究開発といった未来投資にもお金と人を割くのが人本経営です。当然イノベーション力も高まります。

●罰金の割合
これは取り上げるまでもないですが、人本経営実践企業は性善説ベース、そしてコンプライアンスは非常に高いので心配する項目ではないでしょう。

●サプライヤーのサステナビリティ・スコア
人本経営では顧客の前に、その関係の質を意識する取引先・仕入れ会社・協力会社ですが、類は友を呼ぶ法則通り、意識の高いパートナーが多くなるのでこの項目も問題なさそうです。

さて、残りは環境貢献系の指標だけになりました。もし自社が製造業で、上記の項目に関連があれば、これは大チャンスです。それこそ、社員や協力会社の英知を結集して、クリーンレベニューを社会に提供できる新商品、新サービスを生み出していけば、今後、確実に引き合いが増え、事業の持続的な発展が約束されたようなものです。製造業でなくとも、同様にアイデアを絞れば、本業で社会がSDGsを実現する新企画は沢山創造できはしないでしょうか。人本経営とSDGs、改めて相性抜群と感じます。

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