第819号 ジャパンSDGsアワードをベンチマークせよ
2020.2.3
ジャパンSDGsアワードをベンチマークせよ
SDGsへの関心が日に日に高まっていると感じます。そして、自社でも経営に取り入れていくことを検討しようと思い立っている経営者・経営幹部の皆さんは、実際にどうしていったらいいものかと思案しているようです。人本経営とSDGsはとても親和性が高いので、人本経営を実践して「いい会社」づくりに励んでいる企業にとって、さらに会社をよりよくしていくためにSDGsは格好の経営課題となっていくことでしょう。したがって、当通信でも今後、SDGsに関する情報収集および提供を重要なテーマとしていきたいと考えています。
■目標として意識しておきたいジャパンSDGsアワード
人本経営を形にしてきている企業では、すでに本業で展開している事業や領域等において、SDGsに紐づけできることが少なくないことでしょう。まずは、自社の現状から、17掲げられているSDGsの開発目標についての貢献がすでにできていると考えられることを挙げてみましょう。
現状では、ホームページなどで例のカラフルなシンボルマークを掲げて、わが社ではSDGsに貢献していると宣言していくだけでもそれなりのインパクトはありますが、これからはその取り組みについて説得力がいかにあるかということが重要になってくるでしょう。
平成28年5月に、総理大臣を本部長、官房長官と外務大臣を副本部長とし、全閣僚が参加する「SDGs推進本部」が設置されています。そして、企業や団体等のSDGsの推進を後押しする観点から、平成29年度に「ジャパンSDGsアワード」が創設されています。これまで3回実施しており、38の企業・団体等が表彰されています。年に1回実施し、政府としてこうした潮流を更に加速化していく考えといいます。
SDGsを本業に絡めて展開していこうという場合には、このジャパンSDGsアワードのスキームを役立てない手はないのではないかと考えます。
【ジャパンSDGsアワードの概要】
■主 催
内閣府SDGs推進本部
■対 象
SDGs達成に資する優れた国内外の取り組みを行っている、日本に拠点のある企業・団体(企業、NPO/NGO、地方自治体、学術機関、各種団体等)が対象。他薦は認められていない。
■賞設定
SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞/SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞/SDGs推進副本部長(外務大臣)賞/SDGsパートナーシップ賞(特別賞)
■募集期間
令和元年は8月5日(月曜日)から9月30日(月曜日)
■審査方法
12月下旬頃発表。書類1次審査を経てヒアリング2次審査(例年翌年1月に実施)により選定
■実 績
2019年12月表彰の第3回アワードでは11団体、企業が受賞
第3回は、378件の応募がありました。すでに受賞確率は3%という難関になっていますので、表彰されるには相当の努力が必要になることは間違いありませんが、国が設定している表彰基準を知ってベンチマークしながら、今後、SDGsの取り組みを行動化していくことは有効といえるでしょう。
評価される項目は、「普遍性」「包摂性」「参画型」「統合性」「透明性と説明責任」の5つが設定されています。
普遍性では、日本だけでなく世界でもロールモデルとなりえるかという視点が置かれていきます。
包摂性は、障がい者や女性、高齢者雇用など差別のないダイバーシティ面の取り組みが評価されます。人本経営では得意な項目といえるでしょう。
参画型は、様々なステークホルダーを巻き込んでいるかという点が評価の対象となります。
統合性は、その取り組みが同時に他の課題解決への連動性に優れているかどうかが問われています。
そして、透明性と説明責任ですが、取り組みの評価をして定期的に公表していることが実現できているかという点が評価されていきます。
これまでの3回のアワードで表彰されている事例をみていると、割と恣意的に評価されているところがみられますが、昨今のSDGsへの関心の高まりをふまえると、次回以降のエントリー数も激増してくることは確実で、審査基準は厳格なものになっていくでしょう。今後、難度が高まっていくとふまえると、この5項目では、「透明性と説明責任」が鍵を握ってくると予測できます。つまり、例えば、気候変動への貢献ということであれば、CO2をどれだけ削減したのか具体的かつ客観的に提示できることが求められてくるに違いありません。そうしたことを第三者的に証明できるサービスも、また確実に社会に求められてくることでしょう。このような周辺情報を仕入れ、有効活用していくことが、自社の社会的価値向上にもつながっていく機会になるでしょう。いろいろと膨らみがあって、SDGsは本当に面白いと思えます。
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