第813号 「いい会社」になったGCCメンバー エムユープリント物語

第813号 「いい会社」になったGCCメンバー エムユープリント物語

「いい会社」になったGCCメンバー エムユープリント物語

SVCは、『幸せ制作会社』を社是に躍進を続ける株式会社ヘッズの暮松邦一社長と共に、6年前に大阪でグッドカンパニークラブ(GCC)を立ち上げました。業績軸から幸せ軸へ、経営のあり方を見直し、人本経営にチャレンジし、成功していく会社を増やすことを目的に設立された会です。立ち上げ当初から参加していただいている会社は何社かありますが、そのうちの一社が、大東市御領で印刷業を営んでいる有限会社エムユープリントさんです。最近のGCCの会合で、代表者である上田直社長とお話ししていて、これはだいぶ「いい会社」づくりに手応えを感じておられるのではないかという予感がして、一度ベンチマークさせてほしいとお願いし、今月、同社を視察させていただく機会を得ました。

■予想以上に「いい会社」だったエムユープリント

ご訪問して、予想以上に「いい会社」が出来上がっていることに驚きました。まず、応対していただく社員さんたちの挨拶の良さ、表情の明るさに、この会社の健全さを瞬時に感じました。そして、通された会議室のホワイトボードに描かれたウェルカムメッセージをみたときに、これは手間暇がかかっていると感動してしまいました。上田社長は、いつも温厚な物腰で、けっしてでしゃばるような態度をされない方で、自社のことについても、これまでとても控えめに語っておられたのでなかなか気づけませんでしたが、やってこられたことは紛れもなく「人本経営」であると感じました。

■変わったのは7年前

幸せ軸の経営へ上田社長が舵を切ったのは、7年前に営業マンと飲みに行った時がきっかけということでした。その日、このままでは社員が皆辞めてしまうと告げられ、上田社長は大きなショックを受けることになります。その社員の話を聞いているうちに、何が工場で起きているのか分からず、社員のことを見ていなかったと涙が出てきたそうです。そして、「自分はいったい何のために会社経営をしているのか」と自問し、悩んだ末に立ち寄った本屋で書籍『日本でいちばん大切にしたい会社』に出会います。日本理化学工業のストーリーに泣けて、自分が変わろうと思い立ちました。ちょうどその折に、お付き合いのあった暮松社長から「GCCに参加しないか」と誘われたのです。2014年のことでした。

■上田社長がしていったこと

変わることを決断した上田社長は、掃除の徹底からコトを始めました。そして、全社員との個別面談を実施し、対話により社員と向き合うことを実践していきました。パート社員さんも含め1人1時間、働いていて、今、どういう状況なのかを慮っていきました。想像に難くないことですが、いきなり対話の場をつくっても、それまでの関係性が良好でなければ会話は弾まないことでしょう。案の定、社員さんたちは、云いたいことを言ってくれなかったということですが、「エムユーの仲間と働けて良かった。亡くなる前にそう言ってくれる会社をつくりたい。」という思いを本気で貫く覚悟と姿勢で、上田社長はぶれずに継続していきました。

風土が変わるまでは数年かかったそうですが、GCCなどで学んだことを会社に持ち帰り、社員と共有し、心を養うための勉強会も2年前から行っていきました。先月の勉強会では、この2年間の振り返りをしてもらったところ、皆、よく語り、見違えるように意見を言えるようになったと実感したそうです。全員が他の仲間の強みや長所を出し合うことにも積極的に協力してくれるようになり、書き出してもらった一人ひとりの良さを上田社長自らが一枚のシートに入力して、最近の1on1個別面談の際にサプライズで渡していったそうです。思いの外、社員の皆さんは喜んでくれてうれしかった、と顔がほころぶ上田社長。最近、ご教示させていただいたオフサイトミーティングも早速取り入れていて、「あれはいい」と効果を実感されているご様子でした。

「これからの経営者は、とにかく勉強せにゃどうにもならん。最近、経営していて楽しい。」と笑顔で語る上田社長は自信に溢れていました。業績も、幸せ軸へ変わり始めた2015年から堅調で、今年も前年比113.5%の成長と結果も伴っているとのことです。

GCCメンバーから素敵な会社が輩出され、とてもうれしいベンチマークとなりました。

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