第805号 人本経営における人事制度のあり方2 1on1・人間力涵養
2019.10.21
人本経営における人事制度のあり方2 1on1・人間力涵養
引き続き、エンゲージメント項目に沿って、どのような人事制度を導入していけばよいのか、検討していくことにいたします。
3.私は仕事をする上で、自分の最も得意とすることを行う機会を毎日持っている
4.最近1週間で、良い仕事をしていることを褒められたり、認められたりした
5.上司または職場の誰かは、自分を一人の人間として気遣ってくれている
6.仕事上で、自分の成長を励ましてくれる人がいる
一気に4項目を掲げましたが、これらは支援型リーダーシップを発揮できる人材育成を実現していく人づくりという風土があることが必須となります。
前回の1でみた新人から中堅、ベテランに至るまでの支援型リーダーシップを身につけられるキャリア要件定義がされていて、そうしたものが土台になっているうえで、いろいろと人事制度は考えられるでしょう。
3は支援型リーダーが育っていれば、相手との関係性において、やらされ感のない状態を形成し、やる気に満ちたメンバーが増えていくはずです。客観的にストレングスファインダーのような長所認識ツールを使用して、それぞれのメンバーの強みを把握しておくことも有効ですが、具体的に認識できた長所を活かすように配置していくことはそうは容易ではないでしょう。相手の得意なところ、それは言わなくてもやっていることにほかなりません。相手の出来ていないことよりも、そのことは本当によくやっている、秀でているというところを逃さず承認していくことで、相手は「自分はこの職場で役立っているな」という実感をもつことになるでしょう。
4は、1on1ミーティングです。1週間に1度、30分程度、リーダーとメンバーが対話する時間をつくります。ここで実施することはオフサイトミーティングです。リーダーは以下のオフサイトミーティングのルールにそって傾聴をしていきます。
・相手に関心をもって話をじっくり聴く
・肩書・立場をはずす
・自分の言葉で語る
・正論で相手をやっつけない
・結論を出すことを急がない
・「なぜ?」というのは、「あなた間違っているんじゃないの」というメッセージになりやすいので多用しない
・こちら側の主観で否定やジャッジをしない
・自分の意見を言おうというスタンスではなく、相手が今、何を考えているか、悩んでいるのか、どういう状態であるか共感する(相手の状態、背景を理解する)
・リーダーが問題解決しようとしない。本人が自力で課題解決できるように、問いを投げて、一緒に考える
この状態が実現できていれば、次の5、6のエンゲージメントも確実にいい状態にかかってくることでしょう。
ここまで検証してきただけでも、職場で関係の質を高めるエンゲージメント度合いを高くするためには、支援型リーダーシップのある人材をいかに育成できるかということが重要であるかということが確認できます。
技術力・仕事力といった業務の専門性・効率性を高めていく教育は、これまでの日本的経営でも重視されてきたところですが、全員主役となる組織風土をつくるためには、土台となる人間力を涵養していくことをどう実現していくか、最大のテーマといえるでしょう。
人間力は、上から教え込む人材教育制度ではなく、人として大切なこと、目に見えないけれど心を豊かにしていく気づきを得るための場づくりが必要になります。弊社では、それを実現するための「社風をよくする研修」というサービスを提供していますので、ぜひご活用していただきたいと存じます。
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