第794号 CHOの心構え・・・抵抗勢力との向き合い方
2019.7.29
CHOの心構え・・・抵抗勢力との向き合い方
CHO(チーフ・ハピネス・オフィサー)養成講座が開講しました。
真正面から幸福度を向上させる経営人事マネジメントを実践していくスペシャリストを社内に育てようとするプログラムです。
参加された皆さんの意識は高く情熱を感じましたので、業績軸から幸せ軸へ優先順位を明確にして人を大切にする風土、企業文化をつくりあげていくプロセスで発生する、いろいろな障壁や障害に立ち向かい克服していくことを、あわてず、あせらず、あきらめずに実践していくことと期待します。
理想と現実の間で起きる様々な出来事は必然です。一つ一つ向き合って、前進していくアプローチを試みていくことにつきます。
このことは、人本経営に成功した事例をベンチマークすればするほど明らかです。
金融業という事業体で、理念は、金融機関ではなく金融ホスピタリティ業を目指そうと働きかけ、「喜ばれることに喜びを」をモットーに業績軸から幸せ軸へ、風土改革をまい進した巣鴨信用金庫の田村和久理事長。「業績を上げるためには手段を選ばす行動する」のではなく、「顧客の発展を願って行動したか」と日々、問いかけていきました。
そして、ATM入出金手数料ゼロへの決断、店舗閉店後15時以降の接客サービス「サービスデスクアフター3」、高齢者のために本店を休憩所として開放した「おもてなし処」サービスなどほかの金融機関ではみられない改革が次々と実施されていきました。
田村理事長は、利益を最優先に考える企業は利益という目的を達成した時点でその存在意義を失うと考え、忠実に打ち立てた理念に基づいた人本経営を実践していかれたのです。
しかし、その道程では、理想と現実の狭間で困難な出来事が発生したといいます。
とりわけ、難儀だったのは、抵抗勢力の存在です。
「いくら説明しても反発は続いた。反発は経験年数・勤続年数が長いほど大きかった。1年、2年…と取り組んでいるなかで徐々に成果が表れてきた。制度を考えることは簡単かもしれないが、徹底して定着させ、そして成果に結びつけるためには相当の覚悟が必要。」と回想されています。
■抵抗勢力といかに向き合うか
田村さんが理事長になられたのは1997年のことでした。もう20年以上も前のことです。まだ世の中の空気が、今ほど幸福度重視経営に傾いていない当時の状況下では、それは相当の壁があっただろうということが推し量れます。しかし、志を貫徹し、同金庫を「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞受賞に至るまでに社会の財産に育て上げています。
現在は、当時に比べはるかに周辺の理解も得られやすい社会環境がありますので、ぜひ、強い気持ちでたくましくCHOとして活動していただきたいと存じます。
それでも、幸せ軸へ踏み込んでいこうとするときに、社内に抵抗勢力が発生してくる可能性は低くないことも現実でしょう。
どうしていくか、これはCHOとして任務を全うしていこうとするうえで、重要な課題といえそうです。
経営者がCHOになる場合には、ご自身の本気度がその答えになるのですが、経営者以外の方がCHOになる場合は、トップの全幅の信頼と権限委譲を与え、本気でCHOが前進できるよう強烈にサポートしていくことが不可欠になります。ぜひ、そういうムード、雰囲気をつくりあげていってほしいと希望します。
そして、抵抗勢力と思しき社員が出てきたら、やはり対話の場をつくっていくことでしょう。
社員がやる気のない会社には希望がないこと、そして、自分がそうしてもらったらやる気がでると思うがどうかということを伝えて、協力を要請していくことでしょう。
人を大切にする人本経営は、王道であり正道です。そこに確信をもって、信念を通していくと、必ず共感、共鳴も起こります。抵抗勢力は気になるかもしれませんが、エネルギーは共鳴して行動を共にしてくれる同志と支え合い前進していくことに注ぎましょう。3歩進んでも2歩下がる状態でも、時間と共に確実にいい方向、つまり理想へと近づいていくはずです。
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