第764号 支援型リーダーシップに求められる10の基本行動
2018.12.17
支援型リーダーシップに求められる10の基本行動
全員が主人公になるための組織づくりが人本経営成功の鍵となります。それには、前号でみたとおり、支援型リーダーシップを全員が発揮していく状態をつくることです。では、どうすれば支援型リーダーシップがよく発揮できるようになるでしょうか。行動の前には思考が必要になります。思考というと固いイメージとなりますので、「意識しておきたいこと」とここではとらえておきましょう。
以下の10の行動をするように意識をしていくことで、支援型リーダーシップを発揮できるようになるでしょう。
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① 対話する
② 傾聴する
③ 気に留める
④ 顧みる
⑤ 考える
⑥ 合意形成をはかる
⑦ 信頼する
⑧ 任せる
⑨ 承認する
⑩ 感謝する
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①対話する
基本中の基本といってよいでしょう。しかし、これまでのピラミッド型で上位下達を旨とする組織では、実はこの対話は職務中にその時間がほとんどなかったといっても過言ではないのです。経営方針や業務命令を遂行させるための会議やミーティングはどこの会社でも盛んに行われきました。しかし、共感を高めるような場づくりはほとんどされてきませんでした。あえて近い雰囲気はアフター5の飲み会ということになるでしょうか。ただし愚痴や不満のはけ口のための場ということではありません。そうしたマイナスではなくプラスになる方向へ本音で語れる「飲まない飲み会」をつくる感じで、就業時間中に語り場をつくっていく取り組みです。すでにこれを意図して行う「オフサイトミーティング」は多くの企業で試み始められています。結論に向けて収束していくことを目的として会議は開かれますが、オフサイトミーティングは、新しい可能性の探求やチーム力の強化を目的として開催されていきます。
②傾聴する
対話の場づくりが進むことで、必然的に一人ひとりの傾聴力は高められていきます。自分のことを語れる時間が確保され、安心して話すことができる体験は、日頃のモヤモヤ感の解消や自分のやるべきことが明確になりモチベーションが上がります。そして、この素晴らしい体験を今度は他のメンバーにも体感してほしいと積極的に傾聴する行動をとることができるようになっていきます。最初のうちは、ある程度のルール決め(頭ごなしに否定しないこと、同意しなくともよいが共感すること、質問で返答をする、など)をして、場にのぞむことが必要かもしれませんが、慣れてくると相手との距離感にほどよい間ができるようになってきて、ストレスのない職場になってくることでしょう。
③気に留める
相手のことを気に留めるとなると、そのメンバーの今の置かれた状況、とくに家庭環境についてこちらの意識が及ぶようになります。彼は最近第二子ができたんだったな、とか、ご家族に介護が必要になった方がいるというから何かと大変だろう、といった具合に、そのメンバーの立場に立った感覚を持ちやすくなります。そうなると、こちらも配慮ある、あるいは思いやりのある行動をとることが多くなるでしょう。その結果、「私はサポートされている」と実感するメンバーが増えてくるはずです。
④顧みる
これも気に留めると似た効果となりますが、こちらは今現在、そのメンバーの置かれた仕事上の立場をおもんばかるという色彩が強くなります。彼ももう入社して3年が経ったんだな、ではそろそろより専門性の高い仕事をしてもらうように段取りをとってみるか、といった具合です。これも確実に関心をもたれているという自発性のスイッチを押しやすくなる関係をつくることにいい作用が及ぶに違いありません。
(以下、次号)
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