第711号 見えてきた?!殿様、国に次ぎ消失するものの正体
2017.11.20
見えてきた?!殿様、国に次ぎ消失するものの正体
「まったく日本人が来ない」
某有名企業の関連会社の採用担当者が、求人を出しても日本人が応募にすら来なくなっていると嘆いていました。
この手の話は、ここ数年でよく聞くことが本当に多くなりました。
いよいよ人手不足常態化社会となったわが国では、多くの企業で経営のあり方を見直していかざるを得ない段階に入ってきていると強く感じています。
とにもかくにも、人が採用できなくなった会社では、現有メンバーが離職しないよう「社員が辞めない会社づくり」をしていかないと話にならなくなってきています。その有力な答えは、人を大切にする人本経営の不断の実践と、それに成功して企業体を生まれ変わらせることだということを、ますますもって強く確信するところです。しかし、人本経営の実現にはどうしてもある程度時間がかかります。会社が生まれ変わるために、今後、多くの企業で実践されていくであろうことが、企業規模の適正化への取り組みということになるのではないでしょうか。
すでに、それを予感させるニュースが増えてきました。ヤマト運輸の売上拡大路線是正の取り組みは、本通信でも何度となくお伝えしてきましたが、他にも同様のニュースが報じられています。
幸楽苑、人手不足時代を見据えた働き方改革と組織改善を実施~52店舗を閉鎖、今後は従来より営業時間が3~4時間短く、人員が2/3のコンパクト幸楽苑タイプでの出店を推進:幸楽苑ホールディングス
https://jinjibu.jp/news/detl/13887/
今後、全国チェーンのラーメン店、幸楽苑では、今後の新店は従来店に比べ営業時間を短くし、配置人員も3分の2にしていくとし、また、既存の52店舗を閉鎖するということです。
現有メンバーによる適正労働時間での業務を遂行していくためには、経営の進め方の見直しと撤退もやむなしとの決断です。「今後の猛烈な人手不足時代を見据え、全社を挙げて働き方改革に取り組んで参ります。」と切実な思いでプレスリリースが締めくくられています。
これからは長時間労働を前提にして現状の企業経営状況を続けていては、早晩、社員の離職を誘発していくことは確実で、もはや不可能です。よって月平均残業20時間程度をベースにして、企業規模をダウンサイズしていくことが必要になってくる企業はとても多くなると予測されます。極力残業をなくし、家庭と仕事を両立していく企業風土を人本経営によって確立していくことです。それが功を奏して、社員の生きがい、働きがいを高めていくことが出来れば、社風はよくなり、やがてその雰囲気のよさに触れて、新規募集者を確実に採用できるようになっていくはずです。
■リストラを伴うダウンサイジングは破滅をもたらす
いい会社に生まれ変わるために、それまで進めてきた売上至上主義の拡大志向の経営のあり方を改めていくことは、物事の発想が真逆となるので容易なことではありません。その際、決して安易に実行してはならないのがリストラです。人手不足で経営の持続可能性が下がっているところで社員のリストラをするようでは、この先取り返しがつかないことになるでしょう。しかし、今、金融業界で恐ろしいことが起きようとしています。
「銀行が消える日」がやってくる ついに大手銀行が大規模リストラへ
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/021900010/111600056/
みずほ銀行の支店など、国内拠点の2割に当たる約100店舗を削減、2026年度末までにグループの従業員を1万9000人減らす方針と報じられました。また、三菱UFJフィナンシャルグループも2023年度末までに9500人分の業務量を削減、三井住友フィナンシャルグループも2019年度末までに4000人分の業務量を削減する、としています。
業務量の削減とは、またなんと姑息な言い回しでしょうか。長く続くマイナス金利で、もはやこれまでの伝統的な銀行業務が急速に儲からなくなっていることが原因だといいます。明治維新、戦前戦後に次ぐ新たな70年周期として、資本主義から人本主義への時代変化が起きていることも何度かお伝えしてきました。そして、かつて殿様や大日本帝国が滅んだように、それまで世の中の支配的だった存在が失われるのでは、と指摘していましたが、その正体がいよいよ見え始めてきたのかもしれません。
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