第1026号 報道機関へ告ぐ 「人を大切にする経営」を正しく理解して発信せよ

第1026号 報道機関へ告ぐ 「人を大切にする経営」を正しく理解して発信せよ

報道機関へ告ぐ 「人を大切にする経営」を正しく理解して発信せよ

「人を大切にする経営」についての誤解、誤用が、 相も変わらず、コンサルタントやシンクタンク界隈から散見されます。 先頃も某教育研修企業のコラムで以下のような記事がサイト上でアップされていました。 —– 「人的資本経営」と「人を大切する経営」の最大の違いは、人を「資本」としてとらえている点です。 人を「資本」としてとらえる ――そう聞くと、なんだか冷たい響きだと感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。 ですが、以下の内容を理解すれば、その印象は少し変わるでしょう。 これまでの人を大切にする日本的な経営では、人材は「資源」のひとつとして考えられていました。 資源ですから、可能な限り少ないほうが効率的であるとされ、 採用や育成など人材に費用をかけないことが最善とされたのです。 —– 卒倒してしまうくらいの不見識さに唖然としてしまいました。

誤用点1 人を大切にする経営(人本経営)と日本的経営を同視していること

この誤用は、未だかなりみられるのですが、 いわゆる日本的経営と「人を大切にする経営」が同一のものであるという論旨です。 両者は似ていますが、前者は業績軸、後者は幸せ軸であり兄弟が人格が違うように、全く別物です。 この認識をせずに安易に「人を大切にする経営」を語ると墓穴に落ちます。 このことを世に訴えるために人を大切にする経営学会が創設され、その学究活動はすでに10年にも及びます。 れっきとして学会が存在し、その会員数は経営学会のなかでも日本有数になっています。 その存在を無視して、「人を大切にする経営」を語らないでいただきたいと強く箴言します。 誤用点2 人材を「資源」と考えるマネジメントは欧米発であること

次に、人を大切にする経営も日本的経営も人を「資源」と捉える経営的な性格はなく、 この考え方すなわちHRM(ヒューマンリソースマネジメント)は、 1980年代に米国でミシガンモデルとかハーバートモデルなどのフレームワークが考案され 外資系のコンサルファームによりわが国に導入されたものです。完全な誤りです。 誤用点3 人を大切にする経営において、人材に費用をかけないことが最善という考え方は皆無

今回の記事で、最も容認できない点がここです。 社員の幸せを念じ、それこそを経営目的とする人を大切にする経営は、 欧米流の成果主義がわが国に跋扈していく中にあっても、毎年確実に昇給を積み重ね 加齢と共に豊かな生活を生涯送れるように徹底的に腐心して日々の経営に粉骨砕身しているのです。 850社以上の人を大切にする経営の現場を視察してきましたが、 一社として人材に費用をかけない事例に遭遇したことがありません。 むしろ逆でそこまでお金をかけるかという事例ばかりです。 訂正を要請

この記事は発信元は社会的にも有名な会社の系列であるということから、看過できず、 記事の誤りの指摘と訂正を求める抗議メールを出しました。 すぐに編集長と名乗る方から以下の返事がありました。 —– 記事の一部に不適切な表現があり、誠に申し訳ございません。現在、該当記事の訂正を進めており、 訂正作業が完了次第、記事に反映する予定です。 今後の記事制作においては、内容の精査を一層注意深く行ない、 信頼性の高いコンテンツ作りに努めてまいります。 この度は、貴重なご指摘をいただき、誠にありがとうございました。 —– 当方の主張をご理解いいだけたようで、その後、記事も訂正されていました。 経営人事マネジメントは、真に変革の時を迎えています。 だからこそ人的資本経営やパーパス経営、 そしてウェルビーイングといった新たな概念が出てくるようになりました。 大切なことは、どんな言葉を使うかではなく、 確かに組織に幸せ軸の経営を根付かせ持続可能性を高めていくことです。 そのことをこれからもブレずに世に発信し続けていきたいと強く心に留めました。

【お知らせ】―――――――――――――――――――― おかげさまで新SVC通信は、発刊1000号を迎えることができました。 これを契機に、さらに人を大切にする人本経営について 伝道していく使命を色濃くしていきたいと考えています。 つきましては、しばらくの猶予期間を経て 今後は以下の配信申し込みをしていただいている方限定で 配信させていただくことを予定しております。 バックナンバーも同時に限定化していく予定です。 まだ配信登録されていない方は、 これを機にご登録をしていただきますようお願いいたします。

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